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JAEA 研究基盤強化へ体制再構築を検討

 先月、設立から20周年を迎えた日本原子力研究開発機構(JAEA)は、基礎基盤研究に取り組む「組織とヒト」の体制について、再構築に向けた検討を開始した。研究力と研究基盤の持続的な成長に向けて、柔軟性・機動性の高い研究組織へ変革し、ヒトの流動性を高めるため、従来のサイロ型組織から脱却し、新たにアメーバ的小集団を複数組織する取り組みを始動。相互連携による魅力ある新規プロジェクトを立ち上げて、同機構が国民からより期待される存在となることで、研究を担うヒトの確保につなげる。
 基礎基盤研究を担うアメーバ的小集団には、研究力強化に貢献する専門職と位置付ける、URA(ユニバーサル・リサーチ・アドミニストレータ)を配置し、研究者の負担軽減と研究推進を加速。さらに、同機構の機能を最大限活用し、ホット施設の利便性向上や中性子利用の技術的サポートの充実を図ると共に、物理的にもアクセスしやすくする「オープンハブ構想」の下で、研究力の向上、研究基盤の強化を目指す。同機構の施設では、監視エリア範囲が広いことで「入りにくい・見えにくい・使いにくい」といった社会との距離感が生じている。同構想では、セキュリティを確保し、開かれた知の拠点を想定して、監視エリアの範囲、独自ルールの見直しなどによりオープンエリアを整備。デジタル技術を導入して、入構や利用の迅速化を図る。
 JAEAが保有する、研究用原子炉、核燃料物質使用施設をはじめ、大型再冠水実験棟、材料試験室といったコールド施設を活用して、原子力基礎工学研究センター・物質科学研究センター・先端基礎研究センターが、様々な研究開発を推進する。昨年度末の人員(定年制職員数)3155人、今年度予算1541億円を確保する。海外シンクタンク(ASPI)の分析では、重要技術の研究において、日本の順位が各分野で低下する中で、原子力エネルギー分野は3位を確保。一方で、研究インフラとなる同機構の施設の多くが昭和年代に整備され、今年3月末時点で、89の原子力施設の約8割が、築年数40年以上となっている。JAEAは、大学などにおける基盤的施設・設備の減少を踏まえて、施設の集約化に対応し、オールジャパンで活用する人材育成の場としても、施設・設備の必要な機能維持・向上と、技術サポートスタッフの拡充が必要―としている。