東電RP、東京PT 尾瀬の再生に高い評価
東京電力リニューアブルパワー(RP)が、特別保護地区の約7割の土地を所有する尾瀬国立公園の大清水湿原で、東京パワーテクノロジー(PT)が中心となって進めている環境保護事業「尾瀬の水芭蕉プロジェクト」が、取り組み開始から5年目となる今年、大きな成果を生んでいる。
既報のように同プロジェクトは、尾瀬の代名詞である水芭蕉がかつては2万本も咲き誇り、尾瀬の玄関口として人気を集めた大清水湿原の現下の荒廃(水芭蕉が約20分の1に激減)を、産学官の地域連携によって再生することを目指した環境保全活動。湿原の荒廃には地球温暖化と気候変動が影響しており、冬場における降雪の減少が、春先のニホンジカの尾瀬への越境を容易にし、これによって水芭蕉をはじめとする高山植物が食害されている―という。
サトイモ科の多年草である水芭蕉は、発芽率が30%以下と大変低い上、種植えから開花までに3年を要するため、栽培が難しい植物として知られる。そこで東京PTは、オリジナル酒「水芭蕉アーティストシリーズ」を販売する永井酒造(群馬県川場村)の協力を得て、同酒の売上の5%を、群馬県尾瀬美化愛護協会に寄付してもらい、同寄付金を原資に、東京PTが地元の尾瀬高校の水芭蕉生育活動(苗畑の育成・播種・植付)を指導することで「大清水湿原の水芭蕉を再生する」(同社)スキームを考案。さらに苗の育成などで東電ハミングワーク、デザイン業務で三条印刷(新潟県三条市)が協力して、同プロジェクトを進めている。
今月20日に大清水湿原で行った今年度の苗の植付けには、関係各社の社員や同校生徒、地元住民など多数が参加して計350株を移植した。東京PTなどは毎年500株を移植しているが、21年の調査では451個だった水芭蕉の開花数が、今春には5221個にまで拡大しており、地元片品村の梅澤志洋村長も「素晴らしい成果」と称賛。さらに環境省も、国連が30年の達成を目指すSDGsにおける「15=陸の豊かさを守ろう」「17=パートナーシップで目標を達成」の取り組みを実践するもの―と高く評価している。なお、水芭蕉プロジェクトの最終目標は「国連がSDGs達成を目指す30年までに2万本の水芭蕉を咲かせる」。


