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北陸電 害獣AI通報システムの普及が拡大

 北陸電力の新価値創造研究所が、システム開発のほくつう(金沢市)と共同開発した害獣対象の自動AI通報システム「Bアラート」が、里山の荒廃で全国的な問題になっているクマによる人身被害の軽減に効果を上げている。

 既報のように同機器は、カメラ映像をAIで特定の害獣を検出して通報する防犯・アラーム装置。山間部に設置したカメラの画像から、AIが特定の害獣を検出・認識して、即座に自治体や警察・消防へ通報する仕組みで、これにより「的確な状況の把握と迅速な初期対応が可能になる」(ほくつう)という。

 クマによる人身事故は、主食であるドングリの慢性的な不作により、里山から人家に降りて来て給餌中、住民と遭遇して被害に遭う―というケースが大半を占めており、秋田県では昨年、年間被害者数が70人を超えて過去最悪となるなど、被害が全国的に拡大している。
 こうした状況から現在、全国でBアラートを用いたクマAI通報システムの導入が進んでおり、群馬県や神奈川県、富山県、石川県、同小松市、福井市、神戸市などが既に採用して効果を上げている。また富山市も先月より、同システムを用いたクマの検知に関する実証事業を開始しており、AIカメラと防災無線を自動連携することで「通報を受けた後に職員が現場確認に向かっていた従来と比べ、30分以上早く住民に注意喚起ができるようになった」と、同システムの有用性を指摘する。 

 なお、同システムは国からも評価されており、優良技術を紹介する内閣官房のホームページ「デジ田メニューブック」で、デジタルを活用した優れた地域課題解決の取り組み―として紹介されている。