経産省 国際競争力強化へ標準化テーマ調査
経産省は、来年度の標準化関連事業での実施を想定して、国際標準原案の開発・提案、JIS(日本産業規格)の開発などに関する調査を実施する。同調査は、新たに国の事業として標準開発が求められるテーマや、標準開発・標準化戦略の構築のために調査すべきテーマ、国の後押しが必要な標準開発テーマなどを、広く把握することが主な目的。
社会的課題の解決を促進し、国内産業の国際競争力を強化していく上で、大きな役割を担う標準化を巡っては、市場の変化に応じて、その必要性が高まっているのを踏まえて、23年に「日本型標準加速化モデル」を策定。従来の基盤的な標準化活動に加えて、戦略的な標準化活動をこれまで以上に拡大し、企業の経営戦略と一体的に展開することを示した。さらに、同モデル策定時からの環境変化を踏まえて、今年6月には「新たな基準認証政策の展開―日本型標準加速化モデル2025」を公表。これまでの取り組みに加えて「特定分野における国主導の戦略的標準化」と「国内認証機関の強化」を、新たに推進する必要性を提示した。
近年は、標準化の対象が、サービス分野や業種横断的な社会システム分野などにも拡大している。グリーン、デジタルといった技術・サービスなどの急速な普及や、米欧中が国家標準戦略などで、重点分野を定めて標準化活動を加速化している状況も踏まえて同省は、標準開発テーマの対象として、標準加速化モデルで提示する、水素・アンモニアやペロブスカイト太陽電池といったパイロット5分野などを想定。標準開発を通じて、新市場創造、イノベーション促進、国内産業の競争力強化につながると共に、対応への遅れが、競争力低下や市場喪失となるものを調査する。
なお、標準加速化モデルでは、パイロット分野として標準化活動を国が牽引する、水素・アンモニアについて、技術・市場が未成熟で、技術優位性は未特定―と整理。標準戦略を策定してルール形成で先行し、市場を創出する方針を示した。市場獲得競争が今後、激化する見通しのペロブスカイト太陽電池は、技術優位性は特定済みで実用化が視野に入っており、標準による差別化で市場獲得を目指す。
