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規制委 運転中保全現場実証の対象範囲拡大

 原子力規制委員会は、四国電力・伊方3号機(89万㎾)で実施した、運転中保全の現場実証結果を踏まえて、引き続き伊方3での現場実証に取り組むことを了承した。原子力エネルギー協議会(ATENA)からの提案を受けて、伊方3の非常用ディーゼル発電機(EDG)を対象に、今年5月8、9の2日間、同現場実証を実施。EDG1台を待機除外として、燃料弁冷却水ポンプなどの絶縁抵抗を測定し、確率論的リスク評価(PRA)の結果を確認した。
 同現場実証後に現地で行った、原子力検査官と四国電との意見交換では、運転中保全のメリットとして、〇やむを得ず保全作業が必要となり、代替手段の準備やリスク評価に着手する場合と比べ、作業前の落ちついた環境下で代替手段の準備やリスク評価が可能、○他の作業と輻輳しにくい時期を選べるほか、熱中症のリスクが高い夏場や、送電線事故の原因となり得る落雷の多い時期を避けることが可能、〇作業工程に余裕を持たせることが可能なため、若年層のOJTも実施できる―などの事業者意見が挙がった。
 同現場実証を確認した原子力規制庁は、内的事象だけでなく、地震、津波、火災、溢水を含めた包括的なPRAの試行を提案し、この評価を現場実証後に行っており、現場実証の機会は、包括的PRAを行う良い機会となるため、評価経験の蓄積、リスク情報活用の範囲拡大―といった観点から、引き続き試行を行う方針を提示。運転中保全の対象範囲を、非常用電源以外の作業に拡大した場合の、プラント全体への影響を把握するため、弁やポンプなどを対象としたケースも検討する。ATENAの意向を受けて、今後も伊方3を代表プラントとして実証を行い、運転中保全に関する規制上の取り扱いを含めた対応の検討を進める。