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東電HD 水素利用大規模実証9月にも山梨で

 東京電力ホールディングス(HD)は、山梨県などと進める水電解装置開発に関して、9月からの実証に向けた準備を加速する。

 NEDOのグリーンイノベーション(GI)基金事業として、余剰再生可能エネルギーなどを活用した、国内水素製造基盤を確立すると共に、先行する海外市場を獲得するため、固体高分子(PEM)型水電解装置のコストを、30年までに㎾あたり6.5万円まで引き下げることを目指して、21年度から同事業を開始。山梨県企業局を幹事に、東電HD、東電エナジーパートナー(EP)、東レ、カナデビア(旧日立造船)、シーメンス・エナジー、三浦工業、加地テックは共同で、PEM型水電解装置の大型化・モジュール化、耐久性と電導性に優れた膜の実装、水素ボイラーの燃焼効率向上などに関する技術開発を進めている。
 さらに、1.6万㎾級のモジュール連結式水電解装置のプロトタイプを製作し、製造した水素をパイプラインでサントリーの白州天然水工場に送り、水素ボイラーを用いて活用する、熱需要の脱炭素化実証を9月頃から開始する。このほど経産省が開催した、GIプロジェクト部会エネルギー構造転換分野WGにおいてNEDOは、同研究開発をはじめとする「再エネ等由来の電力を活用した水電解による水素製造プロジェクト」の進捗を報告した。同研究開発については、長納期機器の影響により、実証開始が当初予定の4月から9月に遅れ、事業終了も26年3月から12月に延長したものの、要素技術開発は概ね順調に推移し、実証に向けての準備が、順調に進められてことを明らかにした。
 また、同研究開発に対してNEDOの技術・社会実装推進委員会は、多岐にわたる検討項目を順調に達成していることを評価。変動再エネ調達の多様な選択肢に対応できる、システム構築を期待する―などの意見を示している。日本は、要素技術で世界最高水準の技術を有しているが、大型化の技術開発などにおいては、欧州といった他国企業が一部先行する構図となっている。基金事業期間である10年間のうち、同研究開発は前半5年間を事業期間に、大規模P2G(Power to  Gas)システムの技術開発を進める。