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北陸送配電 自走式送電線点検ロボットの実証

 北陸電力送配電は、金沢工業大学やロボット開発のブレイブロボティクス(東京都千代田区)、米沢電気工事(金沢市)と協力して、送電線の点検を行う自走式ロボットの実用化に向けた産学共同研究を開始する。

 近年の自然災害の激甚化により、送電線の点検・修繕ニーズが増大している上、点検作業者の高齢化に伴う人材不足もあって「送電線の様子をリアルタイムで点検できるロボットのニーズは極めて高くなっている」(ブレイブロボティクス)。そのため、同社など3者が商用化を進めている自走式ロボットを用いて今秋より、北陸送配電の現場で実証試験を行って、至近年内での実用化を目指すもの。同ロボットは3台のカメラと通信機器を搭載しており、操作員は地上や事務所にいながら、リアルタイムで送電線の状態を360度確認・録画できる。自走式であるのも特長で、満充電で4時間、最大2000mの走行が可能な上、軽量(18 kg)であるため、30度の高傾斜でも自走が可能な高い技術性能を誇る。
 電力各社の送電線は、多くが高度経済成長期に整備されたため経年化が課題となっている。特に落雷のため傷みやすい架空地線は定期的な点検が欠かせないが、原子力の周辺に立地する送電線の敷設地は飛行禁止区域になっているため、ドローンが使えないなどの制約がある。さらに現在現場で使用している自走式点検装置では、円滑に通過するのが難しい。送電線のねじれ(ダンパ)に対しても「自走用ローラーの突起の形状を工夫した特許申請中の技術で克服できた」(同)ことから、北陸送配電の協力を得て今秋より、ロボットの商用化に向けた実証を行うもの。

 なおブレイブロボティクスなど3者が、米沢電気工事の社有地で7日に行った試行の結果、現在10人で行っている点検作業を4人で行うことができ「作業時間も半分になることが確認できた」という。金沢工大も「産業界と大学の連携で、社会実装という形で新技術が生まれるのは素晴らしい」と、今回のプロジェクトに大きな期待を寄せている。