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東京都 国との重複回避へ排出取引見直し検討

 東京都は4日、「削減義務実施に向けた専門的事項等検討会」を開催し、都が独自に実施するキャップ&トレード制度の見直しに関する検討を開始する。

 このほど「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律の改正法(改正GX推進法)」が成立し、来年度から国による全国規模の排出量取引制度が本格実施されるのを踏まえて、具体的な検討に着手することを決定。国と都の規制対象の重複を避けるため、専門・技術的な検討が必要な事項について、高村ゆかり・東京大学未来ビジョン研究センター教授を座長に、5人の有識者で構成する同検討会で議論する。
 都は02年度から、大規模事業所を対象に、温室効果ガス(GHG)排出量の算定・報告、目標設定を求める地球温暖化対策計画書制度を導入。05年度からは削減対策への都の指導・助言、評価・公表の仕組みを追加して、事業者の自主的・計画的な対策を求めた。これらの実績を踏まえて、環境確保条例を改正し、10年度からGHG排出の削減を義務付ける、キャップ&トレード制度を国内で初導入した。
 都が今年度開始した、今後5年間を対象とする同制度の第4期計画期間では、削減義務の引き上げ、再生エネルギー活用の促進、報告対象の明確化―を柱とする制度改正を実施。オフィスビルなどの削減義務率を対象期間開始前の直近3年度平均比50%とし、第3期の27%から大幅に引き上げた。需要側からのCO2削減に加え、供給側の再エネ導入によるCO2削減をより実態に合うものとするため、GHG算定に使用する電気・熱の排出係数を、固定係数から実排出係数へ移行、報告義務の対象外だった水素、バイオマスなどの非化石燃料や、自然熱、再エネによる自家発を追加―といった見直しにより、制度の実効性向上を図っている。