中電工 次世代技術「遠隔施工」の実証実験実施
中電工は、施工現場の生産性向上に直結する夢の次世代技術―といわれる「遠隔施工」の実用化を目指した実証実験を、北海道沼田町と茨城県つくば市で12日に行った。
遠隔施工は、通信衛星を用いて大容量データを遠隔地に瞬時に送信することで、熟練した技術を持ったオペレーターが数百km離れた施工現場の建設機械類を操縦する―というもの。人手不足が深刻化する中、有効な対応策として期待されている新技術だ。しかしながら、同技術を利用する際に欠かせない米スペースX社の低軌道通信衛星「スターリンク(Starlink Mini)」は、同時に伝送できるカメラ映像が1回線あたり3、4台程度が限界となっているため、遠隔施工を実現するためには「大量のデータを低遅延で流すことが何よりも必要」(土木研究所)となる。
そのため中電工は、土木研究所やハイテクインター(東京都渋谷区)、ジツタ中国(広島市)と協力して、超低遅延映像伝送技術「BAERT」を独自に開発。同技術の商用性と実用性を検証するため、12日の実証では、ハイテクインターの北海道開発センター(沼田町)から、約900km離れた土木研究所の建設DX実験フィールド(つくば市)内に設けたバックホウとクローラーダンプの2台を同時に遠隔操縦した。その結果、建機制御と映像伝送を同時に行えることを確認すると共に、マイクの設置により、現場の音声が一緒に送れる上、施工現場の建機などに人感センサーなどの安全装置も組み込めることが判明した。
映像圧縮による遅延も、一般的には遅延が300㎜/秒を超えると違和感を感じる―とされるが、実証ではわずか50㎜/秒と極めて少なく、実用化に向けて大きく前進したという。遠隔操縦を行うにあたっての諸準備も「通信環境が整えば半日で可能」(同)という簡便さも魅力で、中電工などは今後、さらに研究を進めて同技術の早期実用化につなげる。
endwhile; ?>
