IACOW 洋上風力人材育成をエネ庁採択
東北電力、東京電力リニューアブルパワー、中部電力、JERA、九電みらいエナジーをはじめとする発電事業者10社は、ウインドファームを計画・展開する地域に所在する長崎大学などの国内大学と連携し、洋上風力に関する新たな教育プログラム「日本型IDCORE(アイディーコア)」の構築へ取り組みを本格化する。
長崎大を代表に、これらの事業者、大学で形成する産学連携洋上風力人材育成コンソーシアム(IACOW)は、経産省エネ庁の「洋上風力発電人材育成事業費補助金」に採択され、洋上風力事業を主導する人材育成のための「しくみとカリキュラム」の策定に向けた実証事業をさらに前進する考えを示した。
既報の通りIACOWは、地元にウインドファーム計画をもつ長崎大をはじめ秋田大学、千葉大学など5大学が広域に連携し、発電事業者を中心とした産業界と形成。事業者が有するウインドファーム現場と連携して、従来の大学教育で実現できなかった新たな手法を導入するなど、人材育成プログラムの試行に取り組む。洋上風力プロジェクトの統括的業務を行い、発電所の開発・建設・運営を主導する、高度な専門知識と現場実践力を備えた人材育成を図る。
洋上風力や海洋エネルギーなどの再生可能エネルギーに関する研究・教育において、海外では英国のエジンバラ大学が先進的な事例で世界的に知られている。11年からは同大を中心に、4年間のドクターコースIDCOREの取り組みを開始。1年間座学を行い、その後3年間は産業現場の先端的な技術テーマを対象に、企業の現場で研究者として働きながら、技術テーマに取り組むプログラムで、その間は、IDCOREから十分な報酬も与えられる。大学と企業の双方の指導者が、連携して指導にあたり、博士号を認定する「エンジニアリングドクター」を輩出している。
IACOWの代表を務め、海洋エネルギー教育に力を入れる長崎大は、エジンバラ大と包括連携協定を締結しており、IACOWはエジンバラ大とも連携し、産学における学術連携の促進・イノベーションの創出を実現する新たな仕組み、日本版IDCOREの構築に向けた実証を推進する。産学連携型の共同講座では、学生教育とリカレント教育の両立などが課題となっており、発電事業者は、〇ウインドファームや関連施設の視察会、〇実践的インターン、〇インターンなどを通じた研究テーマの探索・共同研究―などの分野で、主体となって取り組む役割りを担う見通し。