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環境省 環境配慮へポイントなどの効果実証

 環境省は、環境配慮行動の実施数について、カーボンフットプリントの可視化に加え、同実施数目標の宣言や、金銭的価値のあるポイントの付与により、増加することを実証した。既報の通り同省は、ナッジ(nudge=そっと後押しする)やブースト(boost=ぐっと後押しする)といった行動科学の知見を活用して、ライフスタイルの自発的な変革を創出する、新たな政策手法を検証。産学官連携による「日本版ナッジ・ユニットBEST」の事務局を務めており、昨年度開始した「ナッジ×デジタルによる脱炭素型ライフスタイル転換促進事業」の一環として、今年度実施した実証実験の結果をこのほど明らかにした。
 同実証は、電力取り引き仲介を手掛ける電力シェアリングと情報通信関連事業のサイバー創研が受託し、調査会社のモニター2000人を対象に実施した。具体的には、①ナッジを提供せずに、スマートフォンのアプリで日々の環境配慮行動を記録し、履歴を表示する(対照群グループ)、②対照群の内容に加えて、自身の環境配慮行動に伴うカーボンフットプリントの削減量を可視化する(介入群1)、③介入1に加えて、1日あたりの環境配慮行動の実施数目標を宣言させ、目標を達成したら金銭価値の無いポイントを付与する(介入群2)、④介入群2のポイントを金銭的価値のあるものとする(介入群3)、⑤介入群3に加えて、目標を超えて実施した環境配慮行動に対しても、金銭的価値のあるポイントを提供する(介入群4)―のグループに、無作為で400人ずつ対象者を割り当てて行った。
 同実証では、日々の環境配慮行動を記録し、閲覧できるスマートフォンのアプリを使用。対照群と介入群1の比較では、カーボンフットプリントの可視化により、同行動の実施数がわずかに増加した。一方で、環境配慮行動の実施数については、目標を設定し、達成状況を表示することで「統計的有意」に増加することを実証した。また、同行動の実施数の目標達成度合いに応じて、金銭的価値のあるポイントを付与することにより効果が向上。目標を超えて実施した行動に対しても、金銭的価値のあるポイントを付与することで、さらに効果が高まることが判明したもの。
 同省は、予備的な実証実験と位置付ける同実証の結果を踏まえて、実証の参加世帯数や介入内容を見直すと共に、来年度以降は、複数年度にわたる効果の持続性を検証するなど、改めて本格的な実証に取り組む考えを示している。