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中部電 オープンイノベーション大賞に選出

 中部電力が、IoTサービス事業子会社のネコリコ、三重県東員町、東京大学との産学官で取り組む「『電力データ×AIでのフレイル検知』産官学連携で高齢化社会課題に挑む」プロジェクトが、内閣府の今年度「日本オープンイノベーション(OI)大賞」にノミネートされた。同賞は近時、イノベーションの創出を巡る国際的な競争が激化する中で、組織・業界の壁を越えて知識や技術、経営資源を組み合わせて新しい取り組みやサービスを創造するOIが「世界的な潮流となっている」(内閣府)ことから、国内におけるOIの普及拡大を図るため、他の模範となる優れた取り組みを選出して、分野ごとに担当大臣賞、長官賞などの表彰を行う、08年創設の公募形式による優良事業者の年次顕彰。今年度の選考でノミネートが決定した中部電などの取り組みは、既報のように東員町の高齢者宅に設置したスマートメーターを通じて収集した電力データを、独自開発のフレイル検知手法によってAIで分析し、対象者のフレイル(認知症の前段階)リスクを継続的に把握することで、認知症の早期発見につなげる実証プロジェクト(現在、長野県松本市、三重県鳥羽市でも導入されている)。
 同取り組みについて、有識者で構成する大賞選考委員会は「医療費や介護給付金の増加が社会課題となっている中で、全国の自治体にとって効率的かつ早期のフレイル発見は必須命題となっており、同プロジェクトはセンサーなどの追加設備が不要なため、簡易にフレイル対策が可能となるスキームが素晴らしい」と賞賛。さらに「技術的基盤、事業計画、立ち上がりと履行も含めて、当賞の主旨であるOIとしての産学官連携がきちんと構築されている点も高く評価できる」として選出が決まった。中部電などの同プロジェクトを含む計16のノミネート事業は、来月14日に東京都千代田区の内閣府講堂(中央合同庁舎8号館)で行われる表彰式で、それぞれの受賞カテゴリーが決定する。
 なお、同賞における電力の受賞は、第1回となった18年に、関西電力などのグループが「レンタル移籍による人材育成とイノベーションのエコシステム構築」で「選考委員会特別賞」を受賞。翌19年にも、関西電などのグループが「ビジネスエンジニアリング専攻におけるイノベーション人材育成の取り組み」で同賞を連続受賞したほか、20年には中部電などのグループが「産学連携でサイバー攻撃の迅速な見地と対策を実現する取り組み」で、同賞を受賞している。