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経産省 陸上洋上風力の新アセス制度検討加速

 経産省は、風力計画に関する環境アセスメント制度の見直しについて検討を加速する。12年10月に風力を環境影響評価法の対象事業に追加して以降、20年度の195件を除いて毎年度、100件程度の風力アセスに関する届け出を受理。21年10月には規模要件を1万㎾から5万㎾に引き上げたものの、風力のアセス届け出件数は、全体(発電所)の大部分を占める状況が依然続いている。昨年度は、水力1件、地熱1件、火力2件、太陽光9件に対して、風力は112件と膨大な届け出があり、今年度上期でも39件の風力計画が、配慮書を含むアセス図書を既に提出している。
 洋上風力に関しては、立地や環境影響などの特性を踏まえて、最適な環境アセスの在り方を検討。効果的・効率的に環境配慮を図るため、再生可能エネルギー海域利用法、環境影響評価法、電気事業法の制度を連携させると共に、環境アセスの一部を環境省が実施する仕組みの導入を提言しており、「日本版セントラル方式」の確立に向けて法制化を進める。新たなアセス制度では、環境省による調査設計(方法書に相当)や現地調査の結果を踏まえて、選定事業者が残りのアセス手続き、準備書、評価書手続きを行う。
 陸上風力については、21年6月に閣議決定された規制改革実施計画を受けて昨年度、再エネの適正な導入に向けた環境影響評価の在り方に関する検討会を開催し、立地による環境影響の程度に応じて、手続きを3コースに振り分ける、新たな環境アセス制度案の骨子を取りまとめた。同案では、原則全ての陸上風力を法アセスの対象とし、事業者は文献調査などの結果を記載した事業影響予測書を作成。環境影響の程度について、①著しい恐れがある、②著しい恐れはないものの一定程度の恐れがある、③恐れが大きくないことを確認―の3つに振り分け、①は立地選定の再検討を求めた上で、②と同様に現行の準備書、評価書と同等の手続きを行う。③は、以降のアセス手続きを不要とする。陸上風力の新制度案を踏まえて同省は、コース分けの指標など「実態に即したメリハリのあるコース振り分け」の実効性や、事業者の予見性確保などを課題に検討を進める。