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復興庁 風評払拭で全国の8高校で出前事業

 復興庁は、政府方針に基づくALPS処理水の海洋放出に関する「科学的根拠に基づく正確な情報の発信」(同庁)を目的に、今年度の「出前事業」を開始した。同取り組みは、発生から12年を経た東日本大震災の記憶が若年層を中心に薄まることを懸念し、全国の高校生に「福島の復興や福島第一原子力の廃炉の現状について理解を深めてもらう」(同)ため、同庁が昨年度より開始した復興支援事業。初年度は9~10月に、立命館慶祥高校(北海道江別市)、静岡県立島田商業高校(島田市)、沖縄県立首里高校(那覇市)など8校において開講。いずれも復興庁の職員が講師となって各校で特別授業を行い、復興の現状や、政府と東京電力ホールディングスが取り組む福一の廃炉の現状に関する講義と共に、風評の影響の払しょくに向けて生徒とのグループワーク(ディスカッション)の時間を用意。そのため「大変有意義な授業だった」(山陽女学園・広島県甘日市市)と、参加校にも好評だった。さらに復興庁は、出前授業を行った4校の生徒と教諭のほか、福島県立相馬高校の生徒と教諭を迎えた「浜通りの視察ツアー」も11月に実施。授業に加えて、受講者が実際に被災地を視察して地域の様々な人と交流することで「福島の今を知り、風評に流されないことの大切さを実感した」(参加者)という。
 こうした成果を踏まえて同庁は、今年度も今月から来月まで、昨年度と同様に全国の8校で出前授業を開講して、県産の農林水産物が現在、直面している風評被害の現状を理解してもらうと共に、今年も11月に1泊2日の現地視察ツアーを併催して、自分自身の眼と耳で情報の真偽を見極める力を養成してもらう。第一弾として3日に、水戸市の茨城県立水戸工業高校で行われた出前授業には、同校の電気科の1年生40人が参加。ALPSによる汚染水の浄化工程と同処理水の放出スキームのほか、県産品の一部が風評被害で全国平均を下回る価格で取引されている現状などについて理解を深めると共に、グループワークでは「風評被害を生まないためにできること」について意見を交わし、受講者から「情報の発信源や出典を必ず確認する」「根拠の不確かな情報は拡散しない」などの意見が寄せられた。