主な記事 詳細

過去の主な記事

エネ庁 次世代SM活用の取引ルール論点提示

 経産省エネ庁は、次世代スマートメーター(SM)を活用した分散型リソースの取り引きに関するルール検討にあたり、整理すべき制度論点を挙げ、各論点に関する視点を示した。既報の通り、昨年度の「次世代の分散型電力システムに関する検討会」において、同ルールに関する検討を今年度進めていくことを取りまとめており、このほど開催した同検討会で議論を開始した。25年度から導入予定の同SMでは、EV充電器や太陽光パワーコンディショナー(PCS)といった、特例計量器のデータ収集が可能となり、機器に特化した小売り料金メニューやデマンドレスポンス(DR)メニューなど、新たな需要家サービスの創出が期待されている。同SMによるIoTルート経由でのデータ収集は、ユースケースごとに諸制度との整合性を踏まえた制度設計が必要となり、同庁は詳細検討に取り組むもの。
 同検討にあたり同庁は、①契約の単位や部分供給などとの関係、②取り引きを可能とするユースケース、インバランス処理方法、③発電リソース混在の場合における、自家消費の扱い、④取り引きを可能とすることで起こり得るネガティブ事例―などの整理・精査を主な論点として挙げた。機器点リソース分の契約については、契約単位の例外として「1需要場所1引き込みN計量N契約」と整理する一案を提示。高圧で行っている部分供給(複数の小売り電気事業者から1需要場所に対して、1引き込みを通じて一体として供給)では、メーターを受電点に1つ設置した上で、複数の小売り事業者が接続供給契約をそれぞれ締結し、託送料金は全量供給時と同一としており、そうした考え方を一部踏襲する形で、契約を整理することも可能―とした。
 また、需要場所内に発電リソースがある場合の自家消費分の扱いに関しては、これまで自家発自家消費として一般送配電事業者が把握していなかった部分を把握できるようになるため、託送料金の対象増加が見込まれている。他方で、部分供給における託送料の考え方を基に、例えば受電点からの逆潮分については、受電点メーターで電力量を把握することで、自家消費分を観念しない形での整理は可能―としており、託送料の妥当性を担保した整理を行う方向性を示した。契約電力については、機器ごとの使用時間が異なるため、需要場所全体で見たときのデマンドと、機器ごとのデマンドの合計が一致しないといった、ネガティブ事例を想定。個別のデマンドを参考とするか、合成した最大デマンド発生時を参考とするか―などを整理する。
 託送料金との関係では、エアコンなどの使用時期が限定される機器を個別計量することで、全く電気を使用しない月の基本料金が半額となる制度を利用し、基本料金を減少させる事例も見込まれる。一送電の中には、託送料金の基本料金に最低料金制を適用している事業者もあり、契約を分割することで、系統への影響などが変わらないにも関わらず、基本料金を減少させる事例が起こり得ることを指摘。不使用月制は、受電点での計量値ベースとするほか、最低料金制では一定の条件を置く―などの対応を検討する。