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政府 次期開発協力大綱を来月に閣議決定へ


 政府は、新型コロナウイルス感染症や、未だ停戦の見込みのないロシアによるウクライナ侵略など、近時の「国際社会の不確実性に対応する」(林芳正外相)ため、電力やゼネコンなどの協力を得て、開発途上国に対して行っているインフラ支援プロジェクトなどの理念や方向性を示す「開発協力大綱」を改訂する。既報のように、15年に改定した現行大綱の策定時には想定していなかった、戦争やパンデミックなどの国際有事への対応策として、政府が現在推進する「質の高いインフラ」の輸出などの取り組みをさらに加速させながら、電力の協力を得て進めるインフラ支援プロジェクトなどの官民連携をより強固にして、制度構築や人材育成などのソフト面での支援に加え、日本の強みである省エネルギーや防災分野での支援を重点的に行う。
 このほど明らかになった改定案では、経済安全保障上の重要事項に「エネルギーの安定供給」を設定。対象国に加えて、日本にとっても重要となるサプライチェーンの強靱化や多様化への支援・協力を進めると共に、供給先の多角化や教育体系の構築、法制度の整備―などにも官民連携で取り組む。JICAプロジェクトに代表される開発途上国のインフラ需要に対応した取り組みとしては、日本企業の強みである防災や治水、ダム関連技術のほか、省エネルギーや環境分野、さらにはスマートシティなどの都市開発分野において積極的に事業を推進。相手国の社会課題の解決につなげる。さらに厳しい財政状況を反映して、997年の1兆1687億円をピークに、近時10年でピーク時の半分(22年度は5612億円)にまで減額されたODA予算についても、現行大綱で掲げる「ODA予算を国民総所得比で0.7%とする国際目標の達成」に向けて、改訂大綱では目標達成年限を明確にすると共に、中間目標なども設けて着実な履行につなげる。なお改訂した次期大綱は来月中に閣議決定する見通しで、新しい時代に即した新大綱で、ODA開始から70周年となる24年以降の時代の変化に備える。