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監視委 修繕費超過分の取扱い方向性を提示

 北海道・東北・東京・北陸・中国・四国・沖縄―7電力による、規制料金の改定申請に対して、個別原価の審査を進める電力・ガス取引監視等委員会は、原価算定期間とする23~25年度中に、原子力の再稼働を見込んでいる場合は、起動前点検費用などに伴うメルクマールの超過分を、修繕費として認める方向で検討する。同7電力のうち、北海道・東北・北陸・中国・四国―の5社が、修繕費のメルクマールとする水準を超過。その理由として、北海道・東北・北陸・中国電は共通して、長期間停止した原子力の再稼働に向けた検査費用を挙げた。さらに、〇北海道電=火力における直近5年間の定期点検回数の減少、原価算定期間での定期点検回数の増加、〇中国電=原子力の40年超運転に向けた特別点検、至近の運用状況を踏まえた火力の補修対策、水力のダム貯水容量維持のための土砂取除量の倍増、〇四国電=原子力の長期停止中の修繕費減少の影響と、公共工事設計労務単価との乖離を解消するための、工事積算用労務費単価の値上げ―などの特殊要因を提示した。
 これらの超過要因を踏まえて監視委は、このほど開催した料金制度専門会合に対して、5社の修繕費に対する検討の方向性を示した。毎年度増減する修繕費については、メルクマール算定期間を一定の長期間(直近5年間)としているが、同期間においては、安全審査や司法判断による仮処分差し止めなど、事業者の意志に関わらず原子力の停止が必要となっている実態を指摘。これに伴って、同期間における修繕費が抑制されたことを踏まえた対応を検討するもの。13年に行った東北、東京、四国電に対する料金審査では、原価算定期間中の再稼働を見込んでいない原子力に関して、事業者が同期間以降の稼働を想定していることを勘案し、レートベースと減価償却費の算入を認めている。
 また、超過要因のうち火力の点検回数の増加や水力の追加的設備対策、公共工事設計労務単価と事業者の工事積算用労務単価との乖離―については、一般的な修繕の範囲で取り組んでいる事業者がいる、労務単価の乖離幅が大幅に変化している訳ではない―といったそれぞれの実態を踏まえて、メルクマールを超過した分を認めない考えを示した。