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エネ庁 海外地熱探査事業への参画を後押し

 経産省エネ庁は、来年度から5年間にわたり、海外における地熱の探査事業を対象とした、出資事業を新設する方針を固めた。海外の探査事業に参画することで、国内の地熱開発に不可欠な技術やノウハウを獲得し、国内での地熱開発を促進する考え。地熱発電の導入拡大には、地熱資源の8割が存在する国立・国定公園を中心に、大規模な地熱開発の加速化が必要となっている。一方で、国立・国定公園は火山に近く、これまでの国内における地熱開発で培われてきた技術だけでは、迅速な開発が困難な状況。具体的には、複雑な地下構造を正確に把握する技術や、高温・高圧環境下における掘削技術などの先進技術が求められており、国内では活用実績が無いこれらの技術について同庁は、海外事業への参画を通じて効率的に獲得するため、来年度概算要求で同出資事業に対し10億円を新規要求している。
 国内の地熱探査に対する出資事業で実績のある石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が、大規模地熱開発や熱水を利用しない地熱技術や、ノウハウなどを効率的に獲得でき、その知見が国内で有効的に活用されることが見込まれる海外の地熱探査事業に限定して、同事業に参画する事業者に対して出資するスキームを採る。国内では、世界第3位の地熱資源量2347万㎾を有するものの、他の再生可能エネルギーに比べて、地下構造の把握や資源探査に関する開発リスク・コストが高い―などの課題があり、地熱発電量は国内総発電量の1%にも満たないのが実情。
 なお国内では、JOGMECからの出資を受けて実施した地熱資源探査を経て、19年に岩手地熱が松尾八幡平地熱(約7500㎾)を新設。同地熱開発を目的として、11年に同社を設立してから約7年、06年から実施したNEDOの調査事業からは約12年をかけて運開した。現在は、JFEエンジニアリングが100%出資するアーバンエナジーが、特定卸事業者として地元の需要家へ同地熱の電力を供給しており、地産地消エネルギーの効果を発揮している。