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関西電 水素保安規制で離隔距離緩和など要望

 関西電力は、水素社会の実現に向けた取り組みを推進するため、保安規制の見直しについて政府に要望した。経産省が開始した「水素保安戦略の策定に係る検討会」の初会合において、事業者ヒアリングに出席。21年に策定した「関西電グループ・ゼロカーボンビジョン2050」において、デマンドサイド・サプライサイドのゼロカーボン化と併せて「水素社会への挑戦」を、CO2排出ゼロの柱に位置付けており、水素の調達から製造、活用に至る取り組みを紹介した。具体的には、発電での需要創出、海外からの安価な水素の獲得により、まずは運輸・産業分野へ25年頃から販売を開始。長期的には、水素収益の拡大により、国内での再生可能エネルギー・原子力を活用した水素製造事業者として、50年に取扱量で全国シェア3割を目指すことを示した。
 その上で、離隔距離、有資格者選任、水素製造装置に関する保安規制の見直しを求めた。水素社会の本格的な普及に際しては、大量の水素供給が求められ、大量貯蔵に適した水素受け入れ・貯蔵設備の必要性を提示。現行基準では、液化水素貯槽の場合、発電所境界線との間に必要な離隔距離が、同容量の液化天然ガス貯槽の約2倍となる。同規制は、設備レイアウト上の大きな制約となり得るため、安全上の対策を講じた上での、離隔距離緩和策の検討を求めた。
 また、1日あたり100N㎥以上の水素製造を行う第一種製造者事業所では、高圧ガス保安法に基づき保安統括者、保安統括者代理兼保安係員代理、保安係員―の3人が必要で、事業者の大きなハードルとなることを指摘。再エネの余剰電力を活用した分散型の水素製造など、小規模な事業での選任人数の見直しにより、ランニングコストの低減、水素エネルギー利用の促進につながる―との考えを示した。さらに水素ステーションの運営では、遠隔監視などを用いた無人化が進んでおり、外販を行う第一種製造所などでも、無人化を視野に入れた規制の改正も必要―とした。
 水素製造装置に関しては、発生水素圧が1MPa以上の装置が一般的な、欧米の製品と同じフィールドでの開発・利用ができるよう、海外規制との国際相互認証などの整備を求めた。現行基準では、発生水素圧が1MPaを超えると高圧ガス保安法の規制対象となり、特定設備の基準適合を求められる。そのため、国内で開発されている改質装置や水電解装置は、同1MPa未満となるように製品開発されていることを説明。EUでの検査がなされた海外製の水電解装置を日本へ導入する際には、1MPa未満とする改造を行うなど、高コストな機器導入の要因になる実情を示した。