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四国電 四国総研がライチの収穫期間延長に成功

 四国電力が、農業電化の拡大と地場産業の振興を目的に、香川大学と協力して15年から展開している「ライチプロジェクト」の研究で、このほど大きな成果が確認された。既報のように四国電は、熱帯・亜熱帯原産で「国内流通分の99%を輸入に頼っている」(農水省)という人気果物のライチを、自社グループで保有する農業電化技術によって「栽培・出荷を可能にする商品ラインの構築」を目指した研究を進めている。上品な甘さと香りから、中国の楊貴妃も愛食した―との逸話で知られるライチは「生育期に高温多湿&多雨でありながら、年最低気温が氷点下に下がらない冬が存在することが生育上の条件」(同)であるため、国内では沖縄県などでわずかに栽培されているのみで、市場に流通しているものは輸入品が中心となっている。
 加えてライチは、一度冷凍すると糖度と味が落ちる特性を有するために四国電は、四国総合研究所を担務部門に、高松市の農業用ハウスでライチの苗木となる茘枝(レイシ)を栽培し、LED照明などの独自技術を用いて、親樹の抵抗力を高める育成支援を行っている。その結果、20年に初めて18~20度という高い糖度を持つライチの結実を実現させたのに続き「収穫期間が1か月と短いことが課題」(四国総研)となっていたライチの短所を、ICT技術を活用した「スマート農業」によって克服。温度や湿度、光を微妙に調節して、栽培環境をライチの原産国である中国南部の気候・風土に近づけると共に、病気にかかりにくくするための殺菌用LEDライトの増設などにより、収穫期間を従来の倍となる2か月ほどに延長することに成功した。
 四国総研は、今回収穫したライチを、試験的に市内の飲食店などに提供して、事業者・消費者双方の意見を聞くヒアリングも実施する考えで、今後も栽培システムの改良を重ねながら「農業ビジネスに興味がある企業などに栽培方法を指導して、地域の活性化につなげていきたい」(同)という。四国地方は先月28日に、統計開始以来最も早い梅雨明けを迎えた後、連日の酷暑で果物農家の不安が拡大する中、新たな地場産業に成長する可能性を秘めた四国電の取り組みは、農業関係者を中心に大きな関心事となっており、地元テレビ(瀬戸内海放送)も、今季の収穫の模様をニュース番組で特集して紹介するなど「地元では四国電の研究成果に期待している」(香川県農業協同組合)という。