主な記事 詳細

過去の主な記事

環境省 都市地域の炭素マッピング手法開発へ

 環境省は、50年CO2排出実質ゼロを表明する自治体「ゼロカーボンシティ」が増加する中で、その実現を促す取り組みとして「高解像度都市地域炭素マッピング手法」の開発に乗り出す。自治体におけるゼロカーボンシティ計画の策定には、市町村、地域、建物をはじめ道路単位のCO2排出量を、「時間単位」で把握する必要があることを指摘。一方で、現状の地域における温暖化対策の検討では、統計に基づく「年間単位」での産業部門、家庭部門といったセクターごとのデータ活用が中心であり、一定エリアの建物、街、地域レベルの時間的・面的な排出量データの入手は困難となっている。そのため同省は、建物と交通に関連したエネルギー使用量とCO2排出量を推計し、地図上に示す同マッピング手法を開発し、自治体と共にその活用を検討する考え。
 具体的には、道路上で排出されるCO2排出量を推計可能な交通モデルと、建築エネルギーモデルを組み合わせたマッピング手法を開発。同手法を用いて、建築物と道路のCO2排出量を地図上で可視化した、高解像度都市地域炭素マップを作成する。さらに、建築・交通のエネルギー需給、太陽光などの脱炭素化技術、太陽光と電気自動車の導入による相互作用を評価するシミュレーションモデルを開発し、各シナリオでのCO2排出量の時空間分布を作成すると共に、CO2排出量の減少率といった、改善ポテンシャルを評価する。
 同マッピング手法の活用については、例えば人口100万人超の都市部地域、再生可能エネルギーポテンシャルが高い中山間地域、地方の中核都市、脱炭素化に向けた取り組みを率先して実施することを宣言している地域、海岸に近い都市地域―などの様々な性格を有する5自治体程度を選定して、自治体担当者との連携により地域の実情に応じた活用方法を検討する。さらに同省は、自治体におけるゼロカーボンシティ計画の策定には、建物、道路からのCO2排出量の把握に加えて、テレワークや消費行動などライフスタイルの変容に伴う、間接排出量の評価をはじめ、都市緑地、災害リスクなどの多面的な視点が必要―と指摘。同マップ手法による推定排出量情報や人々の活動量情報を踏まえて、ライフスタイルの変容、脱炭素化技術導入量の変化などを組み合わせたシナリオを検討・分析する。