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原子力10社 事業者主体の訓練シナリオWG

 電力9社と日本原子力発電の原子力事業者10社は、原子力事業者訓練のシナリオ開発に関して、原子力規制庁からの移行を見据えた検討を本格化する。事故収束のための判断能力、現場対応能力の向上につながる同訓練シナリオの開発を目指して同庁は、17年度に訓練シナリオ開発WGを設置。それまでの原子力災害特措法に基づく事業者防災訓練では、意図的に重大事故等対処設備を全て故障させて炉心損傷に至るシナリオが多く、また想定する起因事象と事故収束の対応手順は、設置許可記載の枠内となっていたのを踏まえ、同WGはこれまでに、事故の状況に応じた臨機の対応能力向上に向けたシナリオ開発に取り組んできた。
 同WGを通じたシナリオ開発や、そのシナリオに基づいた訓練を10社が実施し、各社で評価を行う―といった一連の流れが定着している中で昨年6月、規制庁が担ってきた役割について、原子力エネルギー協議会(ATENA)や原子力安全推進協会(JANSI)などの事業者側へ移行することを同庁が提案。同提案に関して10社は、事業者としても自主的安全性向上や訓練の効率化などにつながる―と判断し、同WGを今後は、事業者主体で実施する意向を、このほど開催された同WGで表明した。今月中にも電気事業者連合会の中に新たなWGを設置し、2年程度をかけて事業者主体のシナリオ開発に向けた詳細検討を行う。
 具体的には、規制庁、ATENA,JANSIとの関係を整理した上で、各社の既存訓練への取り込みの可否など効率的な訓練方法や、これまでのノウハウ、作成済みシナリオといった訓練実績の活用方法、継続性、訓練に対するモチベーション維持のための方策に関する検討を進める。