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エネ庁 火力の過度な退出回避へ制度措置検討

 経産省エネ庁は、電力の安定供給を確保するため、国が休廃止予定の電源を確実に把握し、安定供給に与える影響を評価する仕組みを構築する。今夏・今冬の需給見通しでは、供給力不足の顕在化が指摘されており、安定供給に必要な予備率を下回るエリア・時期が発生する見通しで、沖縄電力を除く9電力エリアの供給力は今夏、前年度比約350万㎾減少し、過去5年間で最低水準となることが分かっている。今冬においても同約360万㎾減少し、過去10年間で最低水準となる見通しで、こうした足元の供給力低下に対して同庁は、再生可能エネルギーの拡大に伴う設備利用率の低下や、卸電力市場価格の下落などの事業環境の悪化による、休廃止火力の増加を指摘。今後の安定供給に向けた短期的な対策として、脱炭素電源の拡大を上回るペースで過度に火力の退出が進まないよう、退出のペースを管理する新たな仕組みを整備することを提案したもの。
 具体的には、電力需給に影響を与え得る一定規模以上の発電所を対象に、〇休廃止調査や事前届け出などによる休廃止予定の確実な把握、〇休廃止が電力需給に与える影響を確認し、同確認が終わるまで休廃止を留保、〇安定供給確保のための電源公募―などの制度的な措置について検討を深める。なお、こうした措置を念頭に同庁は、足元における休廃止予定の電源調査を行って、火力の過度な退出防止に必要な取り組みを進めることも併せて提示。電力各社が毎年度報告する供給計画に記載された休廃止電源は、地元調整なども完了し休廃止が確定したものであることから、国として24年より前に休廃止の可能性のある火力を調査し、供給計画の補足資料とする考え。保有する火力が30万㎾以上の事業者を対象に、休廃止の可能性のある火力について、休廃止の要因も併せて報告を求める。