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エネ庁 火力による供給力減少傾向の加速を懸念

 経産省エネ庁は、今後10年間の火力による供給力に関して、稼働率の低下や卸電力取引市場の価格低迷に伴う採算性の悪化などにより、減少傾向がさらに加速することを懸念する。このほど中間取りまとめを行った、非効率石炭火力のフェードアウトを検討するWGに対して、火力を取り巻く情勢について説明した上で、今後の供給力の見通しを提示。50年に向けて再生可能エネルギーのさらなる導入拡大が見込まれる中で、供給力、調整力、慣性力といった機能を持つ火力を活用して安定供給を確保し、脱炭素化を段階的に進めていくことが必要―との考えを改めて示した。
 国内火力の16~20年度実績では、LNG1078万㎾、石炭475万㎾、計1553万㎾が新設、LNG595万㎾、石炭65万㎾、石油995万㎾、計1655万㎾が廃止され、供給力は▲102万㎾となった。今後の火力計画については、当面はLNG、石炭火力の新設が予定されており、20年度供給計画における今年度以降25年度までの新設は、LNG758万㎾、石炭686万㎾、計1444万㎾。一方で廃止に関しては、主に緊急時に活用されていた石油火力の廃止が今後も続くことが見込まれており、同庁は運開から45年経過した電源が廃止されると仮定し、大手電力が保有する電源のみを対象に廃止火力を推計。その結果、同期間の廃止火力はLNG489万㎾、石炭256万㎾、石油1140万㎾、計1885万㎾となり、供給力は▲441万㎾と減少傾向がさらに加速する見通しを示した。
 同庁は、事業者による採算性の低い老朽火力を早期退出させる検討が加速している中で、26~30年度には同供給力が▲881万㎾まで拡大する―と指摘。東日本大震災後の火力廃止の拡大や原子力の停止により、供給力の大幅な低下が急速に進展したことで、冬季における予備率は、安定供給に必要な水準8%近傍まで低下しており、今年度供給計画では同水準を下回る恐れがある―としている。