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エネ庁 小売りの省エネ情報評価を試行運用

 経産省エネ庁は、電力などエネルギー小売り事業者による省エネルギー対策の評価制度について、来年度からの本格運用を目指した試行を開始する。電気・ガスに関する省エネ意識について、エネルギー料金比較サイト・エネチェンジの会員約14万人に対して昨年実施したアンケート調査では、回答者3722人(回答率2・67%)の約90%が電力・ガス会社を選ぶ理由として「料金」と回答した一方で、約20%が「省エネの情報・サービスが充実している」を選択しており、事業者の省エネに関する取り組みを重視していることが判明。さらに約30%が、省エネサービスの充実度に関する事業者の比較情報を「省エネに役立つ」と回答していることなどを踏まえて同庁は、エネルギー小売り事業者の積極的な省エネ情報提供を促すと共に、一般消費者による小売り事業者の選択基準を明確化するため、省エネ情報提供の充実度を評価する制度を導入するもの。
 同制度は、19年4月に公表されたエネルギー小売り事業者の省エネガイドラインに基づく定期報告や、任意の報告事項により事業者別に点数を付与。同点数の合計点で事業者をランク分けし、その結果を公表するスキームを想定する。同評価スキームの本格的な運用に向けて同庁は、エネルギー小売り事業者からの報告内容や、評価方法の確立を課題としており、同事業者へのアンケートを通じた試行的な運用を実施。同試行では、制度に基づいた報告徴収ではなく、主に大手エネルギー小売り事業者を対象としたアンケートを発出し、任意での回答を集計することで、各社の取り組み状況を把握すると共に、評価基準などを確立する考え。今月中にも事業者が国に提出する様式案を確定し、今夏を目途に同様式案を用いた事業者へのアンケートを実施する。アンケート結果については、評価基準に沿って第三者委員会が評価した後、同庁ホームページなどで公表すると共に、必要に応じて評価基準の見直しを実施する。
 なお同庁は、今冬の需給逼迫において、調整力として有効活用されたデマンドレスポンス(DR)のさらなる活用・普及といった観点からも、同評価制度の効果を期待する。今冬の電力量不足では、連日の需要抑制が要請された中で、一般送配電事業者による調整力としてのDRの有効性と、燃料制約などのない利便性を確認。加えて小売り事業者の取り組みを促すことで、DRの活用拡大につなげる考えで、小売り事業者の省エネGLにおいて、DRメニューなどの提供を推奨すると共に、DRを促す情報提供を同評価スキームの加点項目として評価する仕組みを構築する。