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規制委 福一事故分析の中間取りまとめ案策定へ

 原子力規制委員会は今月15日、東京電力福島第一原子力における事故分析に関する検討会を開催し、中間取りまとめ案を提示する。今年度末を目途に、その時点での調査・分析の実施状況を取りまとめるため、同検討会を通じて同事故の調査・分析に関する取り組みを進めてきたもので、今後実施するパブリックコメントなどの結果を踏まえて、3月上旬に開催する同検討会で、同中間取りまとめを策定する。これまでの議論において示した同取りまとめ素案は、①原子炉格納容器からの放射性物質などの放出または漏洩経路・箇所、②原子炉建屋での水素爆発の詳細分析、③原子炉冷却のために機能すべき機器の動作状況に関する検討―の3章で構成。1~4号機の非常用ガス処理系(SGTS)配管系の汚染状況・形成メカニズムや、3号機の水素爆発に関する詳細分析をはじめ、津波襲来から3号機のベント時点までの原子炉圧力容器の圧力挙動と、同ベント以降の同圧力変動による機器の状況などを整理している。
 なお、今回の調査・分析から規制委は、〇SGTS配管系の構造、〇主蒸気逃し安全弁の中間開の状態の継続の可能性、〇自動減圧系の動作を可能とする設計意図と異なる条件の成立―などの問題点を指摘しており、今後これらの問題と現在の安全規制との関連について、技術情報検討会で精査を進める。さらに、SGTS配管系で高い放射線量率を示す箇所や、シールドプラグにおける多量の放射性物質が存在することなども確認しており、これらの事項は今後の廃炉作業などにおいて、対処方法の慎重な検討と的確な対応が求められる―と判断。東電ホールディングスをはじめ、廃炉作業の関係機関に対して情報共有を行う考え。
 経産省エネ庁は、今年度の地熱資源量調査事業として新たに、東京電力リニューアブルパワー(RP)、九州電力などによる4事業を採択した。同事業は、地熱事業の実現可能性を検討するために行う、地表・掘削調査などに対して補助金を交付するもので、継続案件として今年度は18件を採択。電力では両社のほか中部電力が、青森県むつ市で15年度から、長野県と新潟県にまたがる中部山岳国立公園内で17年度から、Jパワーが宮崎県大崎市の栗駒国定公園内で18年度から同補助金を通じて調査を実施している。
 一方で、昨年4月に東電ホールディングスの再生可能エネルギー事業を承継し、再エネ専業会社として始動した東電RPは、栃木県の日光国立公園内で16年度から、北海道茅部郡で17年度から同補助金を充当して地熱調査に取り組んでおり、今年度は両地点で坑井掘削・調査、温泉モニタリングなどを実施。さらに同社は今回の採択を受けて、群馬県の日光国立公園内における地熱調査を推進する。また、17年度から大分県由布市と同県の阿蘇くじゅう国立公園内において、同補助事業として地熱調査に取り組む九州電は今年度、九州外で初めて地熱調査を開始する方針を示しており、エネ庁の採択を弾みに福島県河沼郡猿倉獄地域での地熱開発に関する検討を推進。年度中にも地質調査、重力・電磁探査、動植物調査などを実施する方針を固めた。