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エネ庁 相互扶助制度の年間拠出総額60憶円例示

 経産省エネ庁は、来年4月から施行される災害復旧費用の相互扶助制度における拠出金について、昨年発生した大規模な台風災害での交付総額概算を基に試算した結果、年間拠出総額が約60憶円となったことを明らかにした。今年成立した改正電気事業法は、電力広域的運営推進機関の業務として、同制度の創設を盛り込んでおり、同庁はこれまでに電力レジリエンスWGなどを通じて、同制度での交付対象となる災害の基準などに関して議論。このほど開催した持続可能な電力システム構築小委員会では、託送料金制度と関連のある論点として、託送料金における同制度の基本的な取り扱いや、拠出金額の基本的な考え方などを示した上で、毎年発生する災害への対応分として、災害復旧修繕費実績約38憶円の4割、約15億円を計上。一方で昨年度の台風15号、19号、21号に伴う大規模災害を想定した積立基準額から、1年あたりの平均交付金額を約45憶円と試算し、これらを加えた約60億円を、拠出総額例として示した。
 同制度は、被災した電気事業者が、一定の基準を満たした災害時において発生した、他電力などからの応援に関わる費用と、本復旧と比較して迅速な停電の解消が期待される仮復旧費用を、広域機関へ交付申請した上で交付金を受け取る仕組み。同庁は同交付金について、レベニューキャップに算入する金額を見積もる上で、実際に要した費用から交付金額を控除した額を扱うと共に、その原資となる拠出金は、過度な積み立てを防ぐ観点から積立基準額を設定し、同額を超えるまでは、全社の拠出総額として毎年一定の拠出を求め、同基準額を超えた場合は拠出を一時停止する考え。一方で、現行の託送料金原価には、将来の災害対応のために積み立てる費用は考慮されていないため、新たな託送料金が開始される23年度までの2年間における拠出金額については、総額で年間約10憶円と設定。18~19年度の大規模災害の際の制度対象費用を、災害損失全体の4割としたのを踏まえて、現行料金に含まれる各社の災害復旧修繕費(10社総額、年間約25憶円)から算出したもので、相互扶助制度開始後5年目の25年度に、26~30年度の拠出総額・積立基準額を見直す見通し。託送料金制度は、27年度に次期規制期間の料金審査を実施し、相互扶助制度における28~30年度の見直し後の拠出予定金額を反映する予定。