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東北電、Jパワー 電力施設で県立公園を国定に

 東北電力が、既報のように今年7月に福島県金山町に開館した、同社初の水力特化型PR施設「東北電力奥会津水力館(愛称・みお里)」や柳津西山地熱(6.5万㎾)、さらにJパワーの只見、滝両両ダムや只見水力(6.5万㎾)などを目玉に、水力を中心とした関連施設が立地する阿賀川~只見川周辺エリアで構成する「只見柳津県立自然公園」の国定公園への格上げ―を目指す新規プロジェクトを、福島県が今年度より開始する。同構想は「県内の国立・国定公園と県立自然公園の利活用を促進することで、当県の復興と経済振興につなげる」(県自然保護課)ことを目的に、県が昨年、環境省と共同で立案した「ふくしまグリーン復興構想」の一環となる取り組み。県内に4か所ある国立・国定公園に加え、計11か所の県立自然公園の利用者総数が、東日本大震災前となる10年の1529万人から、震災後に大きく落ち込み「現在でも震災前の7割に留まっている」(同)ことから、①県立自然公園の国定公園への格上げ、②県内の国立・国定公園を横断的にまとめて新たな魅力を創生する―ことで、県内経済の活性化を図るのが狙い。
 構想の実現に向けて県は、環境省と共同で年内を目処に計画推進組織となる協議会(名称未定)を立ち上げ、官民共同で取り組みを進める。目標のうち前記①については、両社の水力・地熱施設のほか、エリア内に生息する日本一小さいハッチョウトンボ、阿賀川水系の本支流部にのみ生息するウケクチウグイなどの希少生物や、国の天然記念物となっている柳津のウグイ生息地などもアピールポイントに、只見柳津県立自然公園の国定公園化を今年度中に環境省に申請し、来年度下期中の認定を目指す。同様に②では、新設する協議会が中心となって、〇公園と公園をつなぐロングトレイルコースの構築、〇JR只見線の活用により各公園間を結ぶ独自ルートの立案、〇自転車による各公園を巡る周遊コースの創設―などを行うほか、東京電力ホールディングスの橘田昌哉・常務執行役が理事、東京パワーテクノロジーの森尻謙一・常務取締役が評議員を務める尾瀬保護財団などの官民組織をオブザーバーに迎えて、自然を活かした誘客増の在り方についても検討していく考えだ。