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環境省 バイオマス火力で世界初のCCS実証へ

 環境省は今年度、環境配慮型CCS実証の最終段階を迎え、目標としていた各種技術の確立が視野に入った。16年度から実施する同実証では、CO2の分離・回収、輸送、貯留の分野ごとに社会実装に向けた取り組みを進めると共に、CCSの円滑な導入手法を検討しており、電力中央研究所、産業技術総合研究所、みずほ情報総研をはじめ、石炭エネルギーセンター、東芝エネルギーシステムズ、三菱マテリアル、日揮、大成建設など多数の研究機関、企業が参画。CO2分離・回収技術については、東芝グループのシグマパワー有明が運営する三川火力(バイオマス、5万㎾)に、東芝エネルギーが設計した実証設備を設置し、9月末頃にも実証を開始する。同設備は、火力から排出されるCO2の50%以上を回収可能な国内初の設備で、1日に500t以上のCO2を分離・回収。バイオマス発電所から排出されたCO2を分離・回収するBECCS(カーボンネガティブ技術)としては、世界初となる実用規模の設備で、今年度末まで火力と大規模分離・回収設備の運用性に関する検証などに取り組む。
 CO2の輸送に関しては、国内の環境に適した手法を確立するため、今年度から輸送実証の調査を本格的に開始。貯留技術については、これまでに貯留・遮蔽性能の評価予測や漏洩対策、モニタリング手法の検討を行っており、これらの成果を踏まえて同省は、環境に配慮したCCSの導入手法を取りまとめる。一方で同省は、CCSに加えて、CO2を資源として有効活用するCCUS技術に対し、気候変動の緩和や炭素の循環を実現する有力なイノベーションの一つとして期待しており、早急な社会実装が必要―と判断。今年3月にCCUSの技術実証に関する現状の到達点や目標を関係者間で適切に共有・議論すると共に、学識者や関係業界の専門家などから助言を得る場として「CCUSの早期社会実装会議」を設置した。同会議を通じて同省は各種の取り組みを一層加速させ、具体的な目標を明確にするなど今後の道筋を検討する考えで、来月6日には第2回の同会合を東京都千代田区の霞が関プラザホールで開催する。