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エネ庁 中古EVバッテリーの有効活用に期待

 経産省エネ庁は、新たなエネルギーシステムを支える蓄電池の普及拡大に向けて、中古EVバッテリーの有効活用によるコストダウン対策の検討を加速する。蓄電池の普及に関しては、住宅用太陽光の普及に伴う家庭用蓄電池市場を有望な市場として期待。蓄電池の自立的導入拡大を促すため、目標価格を設定して同価格を下回った蓄電池の導入支援を行っており、同支援により家庭用蓄電池の平均価格は、17年のkWhあたり18・8万円から19年には同13・0万円に低減した。一方で、EVの普及により大量に発生する中古EVバッテリーに関しては、18年度にリチウムイオン電池残存性能の評価ガイドラインを策定。同バッテリーの有効活用により価格低減を図り、今後のさらなる蓄電池の普及拡大につなげる考えで、同バッテリーの性能評価や、安全担保などの課題解決に向けた検討を推進するもの。
 国内におけるリチウムイオン蓄電システムの19年度の出荷台数は10万台を超え、記録的な出荷となった。その約9割は家庭用であることからエネ庁は、太陽光における自家消費率の向上を期待。さらに今後は、蓄電システムからの電力を集約して、供給力や調整力として活用していくことも想定している。既に電力各社は、蓄電池の再利用に向けた取り組みに着手しており、昨年度には先進的な蓄電池の制御技術を持つベンチャー企業ネクスト・イー・ソリューションズと、関西、四国、九州3電力が資本業務提携契約をそれぞれ締結。このうち九州電は、同社と九電みらいエナジーとの3社で、電動フォークリフトで使用したリチウムイオン電池を大規模定置用蓄電システムにリユースする仕組みを検証する実証事業に昨年度から取り組んでいる。
 同実証では、ネクスト社がトヨタ自動車九州と協働して独自開発した電池パックを、トヨタ九州宮田工場の電動フォークリフトに搭載して1年程度使用した後、同電池を用いた大規模定置用蓄電システムを構築。さらに、九電みらいエナジーが所有する、大牟田メガソーラー(1990㎾)に同電池を設置して、出力制御時に発電電力を蓄電し有効活用する検証を行い、将来の需給調整市場での活用や電力系統安定化などの新たな事業を検討する。また東京電力パワーグリッドも昨年度、ネクスト社と蓄電池ライフサイクルマネジメントの実現に向けた協業について合意しており、新たなビジネスに参入する意向を示している。