主な記事 詳細

過去の主な記事

経産省 新時代の株主総会プロセスの在り方まとめ

 経産省は、「新時代の株主総会プロセスの在り方に関する研究会」の報告書案をまとめ、株主総会プロセスにおける企業と投資家・株主との対話を、さらに効果的なものにしていくための方策などを示した。意思決定機関としての側面から、株主総会の実質化に向けた企業、投資家・株主におけるそれぞれの現状と課題を踏まえて、目的に応じた効果的な対話・情報開示の必要性を指摘。企業と投資家・株主における認識ギャップを解消するための方策として企業は、株主総会プロセスでの議決権行使に向けた対話を実施する場合、招集通知発送後ではなく上程議案を策定する段階から対話を実施。特に議決権を多く保有する投資家・株主に対しては、株主総会終了後に賛否結果を確認すると共に、必要に応じて個別面談を実施し、投資家・株主側が考える、自社の中長期的な企業戦略やガバナンス体制への問題意識を把握することが望ましい―との考えを示した。
 さらに、投資家との対話を踏まえて、企業が必要と考えられる事項は、法定記載事項に限らず、できる限り株主総会前に決まった場所に開示するなど、事前の情報開示の充実を図ることを示唆。自社のガバナンスなどに関しては、中長期の企業戦略に基づく説明の必要性を示し、同戦略が語れる立場の者が説明者となることが望ましい―とした。
 一方で、会議体としての株主総会について同報告書案は「株主総会当日が、どのような総会であるかに応じて、企業には株主総会の意義を適切に機能させるための様々な工夫が可能」と指摘。事前の情報開示を充実させている場合、「当日の質問に対する説明の対応如何が、説明義務違反となり得る余地は狭い」とする解釈など、説明義務に関する新たな捉え方も可能ではないか―との考えを示した。さらに、事前の議決権行使は、事前の情報開示や対話を通じてなされている一方で、当日に株主が提出することができる修正動議は、会場に出席しない者には情報提供がなされないまま提案され、事前の議決権行使を行った者にとっては不意打ちになる―との指摘や、会議体としての株主総会当日に出席する株主は、全体の1%程度であるにも関わらず、その中の一部の株主対応に一定のリソースをかけざるを得ないのは負担―との問題提起などを踏まえて、当日の動議の取り扱いについても、再考の必要性を示している。