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東北電 高耐久性の橋用床版の実用化実証に協力

 東北電力の原町火力(石炭、計200万㎾)で排出されるフライアッシュを用いた「高耐久性橋用床版」の実用化を探る実証試験が、福島県郡山市でこのほどスタートした。同実証は、コンクリートの緻密性を高めると共に、ひび割れなどを誘引する「アルカリシリカ反応」を抑制するフライアッシュの特性を活かし、コンクリートにフライアッシュを混ぜて、耐久性に優れた橋専用の床版を開発する技術スキームの確立を目指すもので、日本大学工学部が東日本高速道路、郡山市の橋梁メーカーである矢田工業と共同で行う。フライアッシュは、原町火力で排出されるものを東北発電工業を通じて調達し、同大が、郡山キャンパス内に設けた実証用の実物大の橋(ロハスの橋)を用いて、各材料の配合を細かに調整して製作したフライアッシュコンクリートを同橋に打ち込み、経過観察をしながら、強度などに関する様々な試験を行って商品性を検証する。
 「高速道路橋における実物大打ち込み試験」と名付けた同実証を主導する同大の岩城一郎・土木工学科教授は、「東北発プレストレストコンクリート(PC)道路橋の長寿命化を目指して」の論文で、16年にPC工学会賞を受賞するなど、同分野に関して豊富な知見を持つことから、既報のように東北電が、原町火力内に製造装置を設けて14年より再利用しているフライアッシュに着目し「地元で出た材料を地元で使う地産地消の取り組みとして、同実証を行う」(岩城教授)もの。期間は来年11月までを予定しているが、「早期に事業スキームを構築して、実証期間中ではあるが、来春には実用化させる」(同)考えで、具体的に「常磐自動車道の4車線化工事への導入を目指す」(東日本高速道路)という。コンクリートの異常膨張や、ひび割れ対策などへの効果に加えて、石炭灰再生材を用いた3Rとして環境負担の低減にもつながる同技術の実用化が期待される。