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電力各社 医療機器使用在宅顧客に緊急時対応

 電力各社は、各地に被害をもたらした15、19号台風のような大規模自然災害に伴う停電に備えて、自宅で医療機器を用いて生活する在宅患者を対象にした緊急時対応を行っている。電気が欠かせない人工呼吸器や在宅酸素などの医療機器は、停電に備えてバッテリーを搭載しており「停電しても通常は1日程度もつような構造になっている」(東京都立駒込病院)という。しかし長期間の停電は「医療機器を使用している在宅患者の生命に関わる」(同)ことから各社は、地域の実情や停電の状況に応じた様々な対応により、命題である安定供給を履行している。例えば、近畿圏に大きな被害をもたらした昨年の台風21号の際、関西電力は、約400台常備するポータブル発電機を、顧客の申し出に応じて150台超貸与して停電に対応した。同様に同発電機を約1200台常備する東京電力ホールディングス(HD)も、先月の台風15号の際には、申し出のあった顧客20人に同発電機を貸し出して有事に備えたという。

 医療用という機器としての特殊性や専門性から、こうした機器を使用する在宅患者を抱える顧客に対して各社は、有事に備えた小型発電機の常備と稼働の確認―などの自衛策を求めているが、例外的に事前に相談や申し出があった場合、対象となる顧客(患者)の住所や氏名、緊急時の連絡先(電話またはメールアドレス)を事前登録した上で、これに基づいて各社が有事の際、各顧客に直接電話連絡して、発電機を貸し出すスキームを導入している例もある。

 事前登録者の数は、東電HDが約2400人、中部電が同2000人強という。同様に、東日本大震災を経験した東北電力も「人工呼吸器などを使っている患者さんから事前に相談があった時には個別に対応」しており、中国電力も「各事業所に常備している小型発電機を、利用者側の要請に応じて貸し出す」、さらに四国電力も「516台備えている小型発電機を、作業のための計画停電の場合は、社員が一軒一軒訪ねて、自前のバッテリーで不足しそうなら貸し出しており、災害時の停電でも申し出があれば貸し出す」など、いずれも柔軟に対応している。なお、事前登録については、東電HDがカスタマーセンターでの受け付けも行っており、通常は日祝日・年末年始を除く午前9時~午後5時に受け付けているものを、有事には「全曜日に24時間対応」して、医療機器への安定供給につなげている。