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政府 長期低排出戦略で炭素循環の重要性を指摘

 政府は、このほど提示した長期低排出発展戦略案において、脱炭素社会の切り札となる炭素循環の必要性を強調した。今世紀のできるだけ早い時期に「実質ゼロ排出」を目指すことを示した同長期戦略は、パリ協定に基づき、成長戦略として、CO2低排出型の経済・社会の発展に向けた長期戦略をまとめたもので、50年に80%削減を達成するため、エネルギー部門の目指すべきビジョンとして、再生可能エネルギーの主力電源化、原子力依存度の低減、火力からのCO2排出削減、水素社会の実現、分散型エネルギーシステムの構築―を明記。このうち国内の産業界や研究機関が有する、火力からのCO2排出削減に有効な太陽エネルギーを利用したCO2固定化や、メタネーションにつながる要素・素材技術などの重要性を指摘すると共に、今後、CO2を資源として捉えて分離・回収し、鉱物化や人工光合成、メタネーションによる燃料・素材への再利用などを通じて、CO2排出を抑制するCCS・CCUといったカーボンリサイクルを推進する方針を示した。各国の産学官と連携して、実現に必要なイノベーションを効果的に進めると共に、カーボンリサイクル協議会などの活動を通じて、社会への普及を図るもので、30年以降の本格的な社会実装に向けて、23年までに最初の商用化規模のCCU技術を確立し、「その後の普及の起爆剤とすべく」関係者の取り組みを加速化する考え。

 なお、来月発行の本紙電力時事通信特集号では、CO2の大量処理が可能な技術として、炭素循環エネルギーシステムの研究に取り組む、エネルギー総合工学研究所の橋崎克雄・炭素循環エネルギーグループ部長が、同システムについて、前編(5月8日号)と後編(同10日号)で詳説する。