主な記事 詳細

過去の主な記事

関西電 工事残土が、おおい町の農業振興に寄与

 関西電力が、大飯原子力(計236万㎾)の再稼働に向けて新規制基準への対応工事を進めた結果、排出された残土が、同原子力が立地する福井県おおい町の農業振興に大きく寄与している。町には現在、約800件の専業農家があって地場産業の一つとなっている。しかし近年、全国的な問題となっている猿を中心とした獣害対策に頭を悩ませてきた。そのため、東日本大震災が発生した11年から16年まで、計18億円の事業費を投じて「町の山際すべてのエリア(総延長160㎞)に高さ2mの金網柵を設置した」(町)結果、猪や鹿の食害は3分の1以下に減少したが、柵を乗り越えてくる猿に対しては効果がなかった。しかも、農地法の規定(農地に対する転用制限)で、水田の宅地への転用が難しいことから、休耕田のまま、荒れるにまかせた状態で放っておくケースが多かったという。しかし、一部の農家が関西電の工事残土に着目。同残土を融通してもらい、自身の水田の作土を取り除いた上で、残土を1mほど盛って水はけを良くし、さらにその上に作土を被せることで、農地法が認めている「水田から畑・果樹園への種目変更」を実現。生まれ変わった畑に、梨や栗などを植樹した。
 この試みが先例となって現在は、町内の多くの農家が関西電の残土を用いた所有田の種目変更を行っており、直近では町内における水田の約400筆(区画)が、畑または果樹園に種目変更されるまでに規模が拡大している。猿害との戦いはまだまだ続くが、町や町民は、荒廃した農地の再生に加えて、新しい地場産業の誕生にも期待している。