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エネ総研 原子力解体物のリサイクル促進へ提言

 エネルギー総合工学研究所の原子力発電所廃止措置調査検討委員会は、原子力施設と放射性同位元素利用(RI)施設の解体物などについて、リサイクルの促進に向けた提言をまとめた。10年に導入されたクリアランス制度は、事業者と規制機関の双方にとって手続きにおける負荷が大きいことが指摘されており、業界内などでの再利用という制約によって、円滑なリサイクルを阻んでいるのが実情。そのためエネ総研は、同委員会を通じて提言をまとめ、制度の効果的な促進や社会リスクの低減につなげる考え。同提言では、検認行為などに関する規制の見直しと、再利用制約解除を求めた。具体的には、予め放射性物質として扱う必要の無いものの検認に関わる、学協会標準を承認すると共に、事業者が適切に同標準を守って検認し、搬出まで着実に対象物の管理を行っていることを、20年度に導入予定の原子力規制検査で包括的に監視する規制に見直すことを、規制機関に対して提言。さらに国内での多くの実績を踏まえて、放射性物質として扱う必要の無いものは、一般の解体物などと同様に、制約無く再利用することを求めた。

 東日本大震災を契機に、国内では事業前の計画よりも早い時点で、廃止措置段階への移行を選択するプラントが増加する一方で、欧米諸国の状況と比べると、同措置期間中の設備の維持管理を含めて、同措置を合理的に進めていくための環境条件や、廃棄物処分施設などのインフラ、規制制度などの対応態勢が十分に整っているとは言い難い―とエネ総研は指摘。早期の対応が喫緊の課題であることから、同措置を円滑に進めるための課題解決に向けて同委員会を昨年度に設置した。以降、第三者的な立場で技術的検討を進めており、原子力などでの解体物のリサイクルに関する検討成果を、このほど技術レポートにまとめたもの。