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原子力11社 長期停止による経年劣化影響を評価

 電力9社と電源開発、日本原子力発電の原子力11社は、長期停止期間を考慮した原子力施設の経年劣化影響に関する評価を実施した。国内原子力の多くが長期間停止している状況下において先月、「原子力発電所の運転期間と機器・構造物の経年劣化影響に関する技術レポート」を取りまとめ、既設プラントの高経年化への取り組みを体系的に整理すると共に、長期停止期間の影響も考慮し、新たに技術的な評価を実施したもの。長期停止の影響については、長期運転の健全性を確認している高経年化技術評価をベースに、機器・構造物に想定される劣化事象に対して、長期停止を加味した経年劣化影響を検討。このうち、長期停止期間中において、劣化進展の可能性が否定できないような、ケーブルの絶縁低下、コンクリートの強度低下などの劣化事象に対して、長期停止期間を考慮した詳細評価を行った。
 具体的には、温度・放射線を主要因とする電気・計装設備の絶縁低下に関して、長期停止中の劣化の影響は、機能に影響を与えるものではない事を確認。プラント停止中は、運転中に比べて温度・放射線共に低い状況にあり、稼働率100%のプラントを想定して行う長期健全性試験の評価年数に影響を与えるものではない―と評価した。また、コンクリート構造物は、長期停止中に想定される中性化・塩分浸透によるコンクリートの強度低下に対して、十分に余裕があることを確認した。運転期間60年に停止期間10年を加えた、運開後70年が経過したコンクリートを想定した場合でも、評価基準地に対して裕度があることが分った。