NEDO 事業マネジメント高度化へ課題提示
NEDOは、研究・開発から事業化までの支援について、さらなる効果向上を目指した取り組みを推進する。
エネルギー・地球環境問題の解決と、日本の産業技術力の強化―という2つのミッションの下で、新たな技術を市場に投入するまで伴走支援する「イノベーション・アクセラレーター」としての役割りを実践。技術開発の成果を事業化・社会実装まで導くための「プロジェクトマネジメント(PM)」に取り組む中で、21年に設けられたグリーンイノベーション基金を端緒に、支援規模・対象が大きく変化した。
同基金を含めてNEDOは現在、8つの基金を担務しており、これらの基金を担う以前の年間執行予算は、約1600億円だったのに対し、24年度の同額は1.4兆円に上り、桁違いに増加。これまでの交付予算は、10兆円を超えた。
また、従来の主な支援対象だった、規模の大きい企業に加えて、スタートアップや中堅・中小企業、若手研究者への支援も増え、広がりを見せている。23年のGX推進法成立、海外では国際紛争の長期化、自国第一主義をとる大国の出現など、日本の経済安全保障を覆う情勢は目まぐるしく変化し、不確実性が増している。
そうした中でNEDOは、今後は託された任務を着実に果たすだけでなく、より高い付加価値を提供することを意識してPMを進化させる必要性を指摘。PMの進化に向けた課題を掲げ、対策の検討と実施につなげることを目的として、このほど「NEDOによるPMの進化に向けて」とする文書を取りまとめた。
同文書は、〇プロジェクトの企画・立案、〇プロジェクト実施中のマネジメントの高度化、〇プロジェクト後の事業化支援の強化、〇PMの進化に向けた体制整備・人材育成―などに関する課題、検討の方向性を提示。PMの進化を通じて、研究・開発から事業化まで、NEDOならではの支援を途切れなく提供することで「唯一無二のファンディング・エージェンシー(資金配分機関)」を目指す考えを示した。
同機関としてNEDOは、主に委託費を支払い、補助金を交付し、最近では懸賞金の支給も実施。中小企業やスタートアップと、大企業とで異なる補助率を設ける補助金については、〇経済安全保障の観点から、民間事業者の合理性を超えて補助が必要な場合、〇実用化の見通しに応じて、補助の必要性に差異がある場合―などを想定し、適切な支援の在り方に向けた検討を経産省と進める。
さらに、開発成果の事業化促進というPMの目的達成に向けた取り組みを強化。個々の採択案件の実施中は、進行管理に留まらない支援活動の高度化を図る。実施終了後は、従来から取り組むフォローアップ調査に加えて、事業化サポートの強化を追求する。利用者から要望のある、予算執行に関する手続きの明確化・効率化についても検討する。
実施中のプロジェクトに対して、支援対象の事業者以上に精通することは困難であり、事業者の経営状態を把握することにも限界がある中で、NEDOのプロジェクト担当者による伴走支援力を強化するため「プロセス・コンサルテーション」と呼ばれるアプローチの採用を検討する。同手法は、支援者から必要な情報を、全て打ち明けてもらえるほどの信頼関係を築いた上で、支援者が自ら解決策を見出せるよう導くもので、「傾聴と問いかけ」による伴走支援手法として近年脚光を浴びている。NEDOは、プロジェクト実施後の支援活動でも、同手法の効果を見込んでいる。


