規制委 許認可制度でリスクに応じた規制適用
原子力規制委員会は、原子炉の各種許認可制度における「グレーデッド・アプローチ」の適用強化を図るため、各制度の見直しを行う。
起こり得る事故やリスクに応じて、安全を統制するシステムにおける統制の厳しさを決める手法―とされる、同アプローチに基づく規制を一層進め、同委の組織理念である「真に実効ある規制」を実現。原子力を取り扱う施設や活動、線源の特性、被曝の大きさや可能性に応じて、リスクに見合った規制制度を適用する考え。
現行の原子炉等規制法では、許認可の種類に応じて、災害の防止上特に支障のない変更や、軽微な変更は届出とする制度が存在。規制業務において、同アプローチの適用を強化するにあたり原子力規制庁は、これらの届出とする変更の範囲を、許認可の種類に関わらず、リスクに応じたものとなるよう、各制度の見直しについて検討。このほど開催された原子力規制委員会で、見直しの具体案を提示した。来年1月末に予定される、国際原子力機関(IAEA)による総合規制評価サービス(IRRS)での議論を踏まえて、来春にも同見直しの素案を規制委に提示する見通し。
設置変更許可申請については、新規制基準適合性審査を
経て、申請書本文事項を充実したこともあり、申請案件が増加。軽微な設備の更新などであっても、基本的には審査会合の開催、審査書取りまとめといった、審査手続きを行っている。同見直しでは、設置変更許可での事後届出の対象に、所在地の名称変更など軽微な変更を追加。同アプローチに基づき、事前届出の対象として、災害の防止上支障がないことが明らかな、設備変更を追加する。設計・工事計画の認可では、耐震計算、強度計算結果などに関する技術的妥当性の確認といった業務、審査に多大な人的資源を投入。既に供用実績のある設備の確認や、確立された手法での計算結果の確認などの行為も多いため、同アプローチの観点から、審査対象とすべき事項や手続きを見直す。
保安規定認可については、現行制度上、保安規定で定める保安活動の変更の内容の如何にかかわらず認可が必要。部署名の変更など、災害の防止上支障がない変更申請の認可も毎年一定程度行っており、組織改正や管理区域などの範囲のみの変更指定・解除、廃止措置計画、原子力事業者防災業務計画の変更―といった軽微な変更については、届出を可能とする見直しを行う。廃止措置に関しては、措置が進むにつれて、施設のリスクが段階的に低下することが見込まれ、使用済み燃料搬出後の作業や、放射線リスクが十分低い解体作業などは、届出で作業を行うことを認める。


