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エネ庁 小売り供給の変化踏まえ解釈を明確化

 経産省エネ庁は、小売り電気事業者に期待される役割りの変化を踏まえて、小売り供給の解釈を明確化する考えを示した。

 蓄電池といった電気を蓄電できるシステムの発達に伴って、太陽光などによる供給余剰が生じている時に蓄電し、電気が不足する時に小売り電気事業者や、系統の需給調整を行う一般送配電事業者に対して、卸売りする事業を行うことを希望する「蓄電池等事業者」が登場。同事業者の中には、小売りから系統を利用した電気の供給を受けて、蓄電などを行うことを希望する者や、自ら小売りのライセンスを取得する者も現れている。

 同事業者が運用する、系統用蓄電池などに蓄電された電気は、基本的に他者に対して放電され、同事業者は最終消費しないため、従来の解釈では、同事業者は最終需要家には当たらず、同事業者に対する供給は、小売り供給に該当しないことになる。
 他方で、充放電で生じる「蓄電等ロス」分の供給は、小売り供給に該当。託送供給等約款では、小売りなどの系統利用を、小売り供給を行う場合に限っており、蓄電池等事業者向けの電気の供給のうち、ロス分以外の部分は、一送電による接続供給の対象にならず、現行の電気事業法では、系統を利用できない―と解される。そうした状況に対して同庁は、ロス分とそれ以外の部分は一体不可分なものとして供給されるため、解釈が不明瞭―と指摘。

 今後、変動性再生可能エネルギーの増加が見込まれる中で、需給バランス調整や、迅速な応答性といった機能などを有する、蓄電池の政策的意義も踏まえ、ロス分以外の蓄電池等事業者への電気の供給についても、小売り供給の場合と同様に系統利用が認められることを、解釈で明確化する方針を示した。
 また、自らが小売りのライセンスを取得して、自身や子会社などが維持・運用する蓄電池に電気を蓄電する事業者が存在することにも対応。自身に対する電気の供給は、不特定多数の最終需要家に対する供給では無く、小売り供給に該当しない―との現行の解釈について、小売り事業者が、その事業の一環として、自身などに対して電気の供給を行う場合は、小売り供給に含まれる―ことを明確化する。