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エネ庁 CCSコスト差支援措置を中間整理

 経産省エネ庁は、CCS事業に対する支援措置の在り方について、これまでの議論を踏まえて中間整理を行った。同支援に関しては、昨年9月からカーボンマネジメント小委員会で検討を開始。制度の詳細設計を検討するため、今年2月には同支援に関するWGを設置して検討を進めてきた。

 同じく2月に閣議決定した第7次エネルギー基本計画は、諸外国の支援措置や、国内における「先進的CCS事業」を通じて得た知見などを踏まえて、事業者によるCCS事業への投資を促すための支援を検討することを示した。30年代初頭を目指したCCS事業開始には、26年度を目途に事業者による投資決定が行われる必要があり、同庁はこのほど取りまとめた中間整理の内容と、そうした時間軸を踏まえて今後、個別のCCSプロジェクトの状況を勘案した上で、関係行政機関と連携し、具体的な支援措置を講じる。
 CCS支援制度では、基準価格を「分離回収コスト+輸送貯留料金」、参照価格を「炭素価格」と規定。基準価格と参照価格のコスト差に着目した支援を、支援期間のCO2量に応じて実施する方向で検討する。金融コスト抑制などの観点から、同支援制度の支援額の縮小に寄与する場合に限り、コストのうちCAPEX(設備投資)相当分は、支援額の中から先行的に支援することも検討する。事後的なコスト変動を反映するため、分離回収に関するCAPEX相当分の予備費を、基準価格へ一定程度計上することを認め、リスク要因が顕在化しなかった場合は、未使用の予備費の一部を基準価格の算定から控除。操業中コストの一部は、毎年採用する電気代、燃料代などのベンチマーク価格を考慮した上で、物価上昇など変動の一部を、事業者共通の算定式を用いて一定範囲内で自動調整する方向で検討する。
 輸送貯留料金はオークションで決定し、原則として支援期間中は固定する。操業中のコストのうち、エネルギーコストなどの変動の一部については、一定以上の変動が一定期間以上継続する―などのしきい値を設定した上で、事業者共通の算定式を用いて、一定範囲内で自動調整する仕組みを検討。オークション入札時には、輸送貯留のCAPEX相当分の予備費を、一定程度計上できる方向で検討する。
 CCSバリューチェーン全体の自立化を促す措置として、分離回収事業者、輸送貯留事業者双方に対し、支援期間後も支援期間と同じ長さの義務期間を設ける。分離回収者は支援期間中と同等のCCS実施、輸送貯留事業者にはCO2受け入れ貯留を義務付ける。分離回収事業者における支援期間後のCCS実施については、実削減を伴ったCO2排出削減の取り組みによる代替を認め、将来的な脱炭素化ロードマップなどの策定を事業者に求めることも提案した。