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エネ庁 経過措置料金解除における実務的課題

 経産省エネ庁は、小売り電力の経過措置料金に関して、同料金を解除する場合の適切な措置や、最終保障供給における業務委託などの検討に取り組む。市場を通じて、安定的な価格で需要家へ電力を供給するため、電力システム改革に向けた制度設計の一環として、小売り事業の環境整備を推進。このほど新設した、次世代電力・ガス事業基盤構築小委員会における検討事項として、経過措置料金を解除する場合の課題について、検討を進める方針を示した。
 電力システム改革における小売りの全面自由化に関しては、需要家保護の観点から、送配電部門の中立化といった各種制度の整備や、卸電力市場の活性化などの環境整備が整い、競争が実際に進展するまでは、経過措置料金を維持することを定めている。19年には、電力・ガス取引監視等委員会が、同料金の指定解除に関する基準を取りまとめ、同庁は毎年、同基準に基づき競争状況の確認を行っている。
 24年3月時点で、シェア5%以上の競争者が存在する区域は、北海道(北海道ガス)、東京(東京ガス)、中部(東邦ガス)、関西(大阪ガス)、沖縄(沖縄ガスニューパワー)の5区域。シェア5%以上の競争者が2者以上存在する区域は未だ無く、経過措置料金の解除が妥当な状況にある―とする地域は、現時点で確認していない。その一方で同庁は、将来的に同料金を解除する場合に、同料金が実体的に果たしてきた役割りの是非などについて、改めて検討する必要性を指摘。解除基準を踏まえた、競争状況の確認を継続すると共に、低圧向けの最終保障供給に関して、業務の実務的な課題などを提起し、検討を進める考えを示した。
 具体的には、経過措置料金を解除した後の制度的な対応や、低圧需要家に対するセーフティネットなどについて、改めて検討する。また、同料金廃止後の最終保障供給に関しては、高圧・特高と同様に、一般送配電事業者が担うことを、電気事業法で定めており、低圧需要家の規模を勘案した場合に、平時の一送電のシステムでは、実務上困難となることを想定。最終保障供給を受ける需要家が、数十万~百万規模に及んだ場合などにおいて、一送電が小売り事業者に対して、最終保障供給に関する業務委託を可能とするなど、実務的な課題についても精査する必要性を示した。