規制庁 緊急時放射線モニタリングにAI活用
原子力規制庁は今年度、緊急時の放射線モニタリングにおける、AI(人工知能)活用に関する調査を実施する。
同モニタリングに関わる国の職員は、限られた情報から、放射性物質拡散の全体像を把握する判断力が求められる。そのため同庁は、同判断力の向上を目的とした訓練を、これまでに実施してきたが、さらなる能力向上を目指して、緊急時における環境放射線の状況把握について、AIが支援するシステムの構築に向けた調査を実施するもの。より強靭で機動的な放射線モニタリングシステムを目指した「先進的モニタリングシステム構想」の一環として、迅速・きめ細かい原子力災害対応の実現、モニタリングの省人化・コスト削減・DX化―などにつながる取り組みを進める。
同システムは、訓練に用いるために作成した、数多くの事故事例を想定し、放射性物質の大気拡散計算に基づくデータなどを、AIが事前に学習する。緊急時にはプラント状況や当日の気象条件、緊急時モニタリングの実測値を入力することで、AIがモニタリングポスト間における放射性物質の分布状況や、放射性プルームの挙動を推定。モニタリングポストのみでは可視化できない、その時点の放射性物質の分布状況を、実測値からAIが推定する仕組み。緊急時モニタリングの関係者間で、状況のイメージ共有を図ると共に、モニタリングに従事する職員の状況判断をサポートする。同庁は、来年度以降のシステム開発を目指す。
