主な記事 詳細

過去の主な記事

OCCTO 停電コスト把握へ大規模調査実施

 電力広域的運営推進機関(OCCTO)は、停電コストに関する調査を実施する。停電により発生する損害を集計した停電コストは、同機関が各施策を進める上で、必要不可欠な指標として用いられており、同機関による継続的な調査・見直しの必要性が示されている。直近の調査は、13年度に電力系統利用協議会(ESCJ)がアンケート形式で実施。同調査から10年以上が経過しており、OCCTOは、電力需要構造や電化依存度による変化など、現状の適切な影響を反映するため、再調査を実施する方針を固めた。
 再調査については、21年に同機関のマスタープラン検討委員会が、実施の方向性を示すと共に、アンケート手法の改善についても指摘しており、今回の調査は「アンケート調査を含めた、停電による社会的影響に関する様々な手法について、十分に比較、考慮できるように、まずは知見を深める」(OCCTO)ことを目的に取り組む。具体的には、有識者との勉強会を通じて、〇具体的な設定条件(想定事象)、〇調査精度を向上させるための質問方法、〇調査票の設計―といった、調査に関する事項を検討した上で調査を実施。調査結果を整理・分析することで、停電による社会的影響を検討すると共に、停電コストの算定につなげる。
 ESCJが13年に実施した調査は、供給力不足による計画停電を前提とした「停電予告あり」のケースと、設備故障などを前提とした「停電予告なし」のケースを設定。それぞれについて、夏(平日13~15時)と冬(同17~19時)に停電が発生した場合の停電コストを、個人(2万人、有効回答4458人)と大口(1万2919社、同3177社)・中小事業所(1万社、同329社)を対象としたアンケート調査で確認した。このうち、計画停電を前提とする回答値からの停電コストを、kWhあたり3050~5890円と算定した。大口・中小事業所向けアンケートでは、停電により発生する損害の具体例を示して、それぞれの金額を回答する調査型式を採用し、それらを合算することで損害額を算出した。個人向けには、損害額、支払い意思額(停電を回避するために支払ってもよいと考える最大金額)、受け取り意思額(停電発生時に受け取りたいと考える最低限の金額)を質問。停電に伴い発生する直接的、間接的な損害の具体例を示した上で、予め設けた選択肢の中から金額を選ぶ方式を用いて、同調査を実施している。