エネ庁 重点分野定め次世代太陽光の需要創出
経産省エネ庁は、次世代型太陽電池として期待される「フィルム型ペロブスカイト太陽電池」の需要を創出するため、導入初期における重点分野を設定する。
次世代型太陽電池の導入拡大と、産業競争力強化に向けて、このほど開催した官民協議会に対し、昨年11月に取りまとめた次世代型太陽電池戦略の進捗などを説明。同戦略は、官民連携により量産技術の確立、生産体制整備、需要創出―を三位一体で進める方針を示した。このうち40年に約2000万㎾の導入を目指した、需要創出に関しては、設置場所、導入主体、施工面の分野に重点をおいて設置を進める。
自治体を含めた公共部門や、環境価値を高く評価する企業からの導入を見込んで、導入初期段階からの支援を開始する。導入拡大と生産体制の整備に向けた、予見性確保の観点から、〇設置場所の耐荷重が㎡あたり6㎏以下で、耐火性の観点や固定において、特別な施工を要しない屋根、〇今後3年間に、同一主体が累計で一定以上の設置を計画、〇道路、空港、港湾などの公共インフラ空間への設置―に重点をおき、同ペロブスカイト太陽電池の導入を支援する。
同庁は環境省と連携し、今年度の新規事業として、同太陽電池の社会実装モデルの創出に向けた導入支援事業を設置。今年度予算で50・2億円を確保する。導入初期段階において、発電コストの低減を図るため、将来の普及フェーズも見据えて、拡張性の高い設置場所への導入を促す。
軽量・柔軟などの特徴を有するペロブスカイト太陽電池は、これまで設置が困難だった場所にも、設置可能であると共に、主な原料であるヨウ素は、日本が世界シェアの約30%を占める。同庁は、再生可能エネルギーの導入拡大や、強靱なエネルギー供給構造の実現にもつながる次世代技術として期待する一方で、国内の太陽光市場は海外と比べて小さいことを踏まえ、当初から海外市場への展開を視野に入れる。国際標準策定時の連携を想定して、高度研究機関を有する同志国・地域を念頭に、先行導入が見込まれる国・地域から順次展開し、海外市場への本格展開を図る考え。
