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エネ庁 非FIT証書直接取引の対象拡大へ

 経産省エネ庁は、再生可能エネルギーの環境価値を示す、非化石証書に対する需要家ニーズの拡大を踏まえて、「非FIT再エネ証書」における直接取引の対象を拡大する考えを示した。FIT証書は、相対契約による長期確保ができない―といった調達における制約がある。さらに、事業を100%再エネ電力で賄うことを目標とする「RE100」、温室効果ガスの排出量を算定・報告する際の、国際的な基準を策定する「GHGプロトコル」など、グローバル基準の変更可能性も見据えて、必要な再エネ価値を中長期で安定的に確保したい―という需要家ニーズが高まっており、制度改善に向けた迅速な対応が求められている。
 小売り電気事業者による高度化法義務達成の手段―として制度化した非FIT証書は、再エネ価値への需要家ニーズを背景として、22年度以降に営業運転を開始した新設非FIT電源、新設FIP電源、FIT電源から移行したFIP電源と、卒FIT電源に対し、需要家との直接取引を認めている。同取引は22年度の開始以降、着実に増加しており、23年度に1.0億kWhだった取引量は今年度、4.6億kWhに急増する見通し。さらなる取り引きの対象拡大を求める、需要家ニーズが顕在化しており、FITからFIPへの移行を、政策的に誘導する必要性も勘案して同庁は、FITからFIPへ移行した電源については、その運開時期に関わらず、直接取引の対象とすることを、昨年末開催した電力・ガス基本政策小委制度検討作業部会において提案した。
 また同庁は、調達の効率化や与信面などを理由に、グループの親会社が調達した非FIT非化石証書を、グループ内の他社に融通したい―という要望が複数寄せられていることを課題として提示。直接取引は、取り引きを行う需要家ごとに口座開設を求め、取得した需要家に限って、利用できる仕組みとなっている。発電事業者と需要家間における、非化石エネルギーの新たな調達手法として認めている制度であることを踏まえて、実質的に需要家自らの非化石エネルギーの調達である場合には、厳格に、一需要家に一口座の開設を求めず、例えば、親会社の口座で管理する証書を、子会社も利用することを認める仕組みを提案した。