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規制庁 規制検査改善へ横断領域など検討推進

 原子力規制庁は、20年度の開始から4年が経過した、原子力規制検査のさらなる改善に向けて、今後も引き続き検討を進める課題として、①横断領域に関する検査、②確率論的リスク評価(PRA)モデルの活用、③設計管理などに関する検査と使用前確認の改善、④使用前事業者検査の対象範囲の見直し、⑤東京電力ホールディングス(HD)福島第一原子力に対する実施計画検査の改善―を提示。各課題への対応状況と共に、25年度末までの完了を目指す短期対応方針と、26年度以降も取り組む中長期方針を示した。
 このうち、複数の監視領域に共通する、安全活動上重要な横断領域に関する要素については、検査制度での取り扱いが課題となっている。今年11月には、経済協力開発機構/原子力機関(OECD/NEA)が日本で開催する、検査制度のワークショップで、横断領域の取り扱いが議論されるため、規制庁はこの機会を利用して、参加各国の取り組みに関する情報を収集する。これまでの検査指摘事項や、品質マネジメントシステム運用に関する検査結果については、米国原子力規制委員会(NRC)が導入している横断領域プログラムなどを参考に、横断領域の観点で分析する。
 検査指摘事項の重要度を、定量的に評価する際に活用するPRAモデルは、地震などの外部事象を考慮したものではなく、評価手法の拡大や、モデルに用いる機器故障率データの収集方法の改善が課題。このうち機器故障率に関しては、電力中央研究所原子力リスク研究センターが、データ収集ガイドと「国内原子力発電所のPRA用一般機器信頼性パラメータの推定」の改訂を今年度中に実施し、事業者のデータ収集業務の改善に取り組むことを報告している。
 今後の対応方針として規制庁は、レベル1PRAモデルの適切性確認を、今年度上期内に東電HD・柏崎刈羽7(136万㎾)で完了。その後、東北電力・女川2(83万㎾)に着手する。レベル1.5PRAモデルの同確認は、今年度上期中を目指して、関西電力・大飯3、4(各118万㎾)、高浜3、4(各87万㎾)九州電力・玄海3、4(各118万㎾)、川内1、2(各89万㎾)で行う。また、地震・津波などの外部事象を含む、PRAモデルの研究開発には相当の時間が必要―と判断。内部事象とは異なる外部事象の観点からのリスク情報も参照するため、適切性確認済みの内部事象のPRAモデルに、規制庁が主要機器のフラジリティデータを追加し、地震ハザードを考慮することで、地震時の炉心損傷リスクを、簡易的に評価する手法を導入する。