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エネ庁 長期脱炭素入札に原子力安全対策追加

 経産省エネ庁は、先月に初回の応札を実施した「長期脱炭素電源オークション」での、既設原子力の扱いについて整理し「13年7月に施行された新規制基準に対応するための投資案件」を第2回オークションの対象に追加する考えを示した。同入札制度は、脱炭素電源への新規投資を促進するため、落札された電源に対して、原則20年間にわたり収入の予見可能性を付与するもの。再生可能エネルギーと共に、原子力の新設・リプレースについても、同制度の対象としている。一方で、既設原子力の安全対策投資に対しては、同制度の対象とする方向性を示すものの、これまで整理しておらず、このほど開催した電力・ガス基本政策小委制度検討作業部会で同庁は、安全対策投資の具体的な対象範囲を示すと共に、事業者間の公平性について整理した。
 東日本大震災後に導入された新規制基準に対応するため、既設原子力を活用するには、数千億円規模の安全対策投資が必要。既設原子力のうち、震災後に再稼働したのは12基、1160万㎾で、未だ20基以上、2000万㎾以上が停止している。同庁は、30年のエネルギーミックス達成や50年カーボンニュートラル実現には、既設原子力の最大限の活用が重要―と指摘。投資回収の予見可能性が、再稼働に向けた投資判断の上で課題となっており、長期電源オークションを通じて、既設原子力の安全対策投資を促す。
 同制度は、巨額の初期投資が必要な案件を対象としており、同庁は今後、新たなバックフィットや、巨額の自主的安全性向上投資が行われる際には、必要に応じて制度の対象に追加する必要性を検討する。なお、オークションの対象とする安全対策投資と併せて行う、規制基準に対応するためのバックフィット投資、自主的安全性向上投資のほか、使用を継続する部分の設備の残存簿価については、応札価格への算入を認める。また、同制度への参加を不可とする、既に再稼働した原子力は、今後の新たな基準に対応するための投資案件が、同制度の対象に追加された場合は参加可能となり、事業者間の公平性は確保される―としている。