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エネ庁 所有権分離の目的効果慎重に比較衡量

 経産省エネ庁は、電気事業者における所有権分離に関して、一般送配電事業者による非公開情報の漏洩事案への対応として行うことの必要性については、目的と効果を比較衡量して慎重に考える―との方向性を示した。一連の同事案を受けて、一送電が保有する非公開情報へのアクセス遮断を徹底するため、電力・ガス基本政策小委員会での議論や、電力・ガス取引監視等委員会建議の内容を踏まえた対応の方向性を整理。具体的には、〇託送情報に関する情報システムの物理分割、アクセスログ確認の徹底、〇内部統制の抜本的強化の仕組み、外部監視の仕組みの導入・強化、〇さらなる行政命令、罰則を含めた履行確保のための制度構築―などの制度的措置・仕組みで対応する方針を固めた。
 同庁は、このほど開催された電力・ガス基本政策小委において、これらの制度的措置により信頼回復に努めることが不可欠―とした上で、一送電の中立性をより一層高めるために所有権分離を行うべき―とする指摘への考えを示したもの。同小委では、所有権分離が、このほど明らかになった事案に対する直接的な対応ではない―との意見もあり、加えて、これまでに指摘された論点についても留意する必要性を示した。具体的には、所有権分離に関して、〇所有権分離により、実際に株式価値の毀損などが発生した場合、憲法第29条で保障される、財産権の侵害にあたる可能性も否定できない、〇グループ一体で実現している、迅速な災害対応力が低下する恐れがある、〇電気の安定供給を確保するために必要な、グループ一体としての資金調達に支障が生じる恐れがある―といった論点が指摘されている。