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エネ庁 新たな需給見通しで火力予見性確保

 経産省エネ庁は、来年度にも検討を開始する、供給力の維持・開発に向けた新たな需給見通しにおいて、火力の発電量を幅のある形で示すことを提案した。電力広域的運営推進機関が取りまとめる現行の供給計画は、向こう10年間の電力需給見通しを示している一方で、大規模な電源開発に有用な10年を超える先の見通しが無く、電力自由化の下で、発電事業者が新規の電源投資を躊躇する一因であることが指摘されている。50年カーボンニュートラルの実現に向けて、同庁は来年度から、電源投資の支援制度「長期脱炭素電源オークション」を導入することを念頭に、計画的な電源投資の基礎となる、10年を超える長期の電力需給の見通しが必須―と判断。現行の供給計画とは別の形で、10年超先の需給に関する複数のシナリオを関係者間で共有することを目指して、供給力の維持・開発を計画する新たな枠組みを形成する考えで、早期検討に向けた準備を進める。
 一方で、火力について同庁は、脱炭素化の下で発電比率をできるだけ引き下げる必要があるものの、その発電量は再生可能エネルギーや原子力など非化石電源の動向に左右され、発電事業者は発電量や経済性を予見しづらく、燃料確保も含めた必要な投資を行いにくい状況―と指摘。今後検討する、新たな枠組みでの複数のシナリオの下で、中長期的な火力の発電量を幅のある形で示す考えを示した。
 さらに、今後の火力政策として、水素・アンモニアなどの脱炭素燃料や、回収したCO2を有効利用するCCUSなどの導入により、従来型の火力を脱炭素型に置き換えていくことを提案。具体的には、新設火力は原則として、水素・アンモニアといった脱炭素燃料の混焼などにより、脱炭素化に向けた道筋を明確化すると共に、既設火力については、同様の混焼による脱炭素化、もしくはフェードアウトすることを明らかにすることで、脱炭素型への移行を推進する。